リーの進路 ページ5
立っているのが辛くなってきたところで実習をとりあえずやめにする。
魂を吸うモーションを抑えたとはいえやはり不定形なディメンターを作り出すのは難しいし、魔力の消費量が半端ない。
人をダメにするソファーが私の元に現れたので、とりあえず座ることにした。必要の部屋も休めと言っている。
これ以上は黒マントを被ったネズミが現れそうなのでもうおしまい。
生徒も二周したので満足しただろう。したよね？うん。
「ありがとう、A。
何か飲み物いるか？」
足を伸ばしてだらけ気味の私の元に来たのはノー眼鏡のリーだ。
相変わらずドレッドヘアを一個にまとめていて、無駄にイケメン。精神はイケメン時々悪魔。天気のような奴である。
『これくらいしかできないですし。
ううん、でもありがとうございます…』
彼はどかっと床に座り、私を見上げる体制になった。
周りも休憩をしているので彼もそうしようと思ったのだろう。私の元に来たのはなぜか知らないけど。
短い間沈黙していた彼は小さく息を吸って吐いた。
「…爆弾を投下し終えたら双子がこの学園をさろうとしてる。」
それはつまり、NEWT試験を受ける少し前に中退する、ということだろうか？
でも、彼がわざわざ私に言いに来たということは続きがあるのだろう。私は言葉にせずに続けての意で頷いた。
「それが、本当にいいアイディアなのかは俺にはわからない。
確かに双子はあのままでもやっていける。でも俺には何ができるかと考えたら会社の経営補助だ。それだったらNEWT試験の合格書を持っていた方が後々有利で…」
わからん…と呟いで彼は顔を煽る。
ぺたりと後ろに伸びて床に寝そべった。やはり期末前というのは相当ストレスフルらしい。それにOWL試験でなまじいい点を取っていて、NEWT試験のための授業をたくさん受講しているからのジレンマだろう。
『そうですねぇ…
友人と離れるというのは、やはり辛いものですがリーがそこまで考えているということは、もう答えは出ているのでは？』
開発職で後々の問題を回避するには魔法薬学、薬草学、変身術、呪文学の合格書持ちが欲しい。もちろん４教科全部持っている人は少ないので、４人集めても問題ないわけだが…
それに経済学、法学に精通している人がいればなおのこと。
「そう、だよなー…」
リーは未だ大の字で寝転んだまま微笑んだ。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
