不機嫌 ページ18
６月に入った。
私は未だレギュラスに怒っているし、森からはざわつく魔力は感じるしでなんだか基本的に不機嫌だ。理由はいろいろなことが混じっているのでこれ、と言えないのがさらにもどかしい。
悶々としながらも毎日を送って、険悪な勉強ムードの大広間に座っていればハリーがやってきた。
大量の教科書を持っていて、疲れているのか顔に覇気がない。
「あの、A相談があるんだけど…」
ちょっと来てくれないかな、と言われたので私は教科書をまとめてとりあえず積み上げた。
またどうせ戻ってくるだろうし、パンジーの隣のベンチの上に。
身軽になった私は彼について大広間を抜け、下級生で賑わっている中庭の方に向かう。
太陽が燦燦としていて、あったかい。これでは外にいる生徒が多いのも頷けるだろう。もちろん、OWLかNEWT試験を前にしていない生徒、というのが条件だけど。
神妙な様子で彼はいうか言わないかを迷っているようだった。
なんだか言いづらいんだろうなということを察して周りから聴こえづらくする防音魔法を軽くかければ観念したようにハリーは口を開く。
「パッドフットとムーニーに閉心術の特訓を続けろって言われたんだ。」
いつの間に話して…あぁ、あの騒ぎの時か…？
双子が突然騒ぎを起こしてアンブリッジがカンカンだったな…まぁ、私の進路相談の途中で起こったことなので、私たちを取り残して走り去っていったのでラッキーと言えばラッキーだったけど。
『…彼らと話しに行ったのは褒められた行為ではありませんが、まぁその意見には同意しますね。』
イライラしているのと重なってなんだか冷たい言葉を出してしまい、ハリーはハーマイオニーに散々言われたことを蒸し返されて嫌そうな表情を浮かべた。
「そこで、なんだけど」
怒りを封じるように彼は重々しく息を吐いた。
「もしできれば、Aに教えてもらえないかなって。」
セブルスの過去を覗いてから特別授業はなかったことになり、特訓を続けていなかったっけ。
彼もハリーもお互いやりたがってるわけではなかったからせいせいしてたけど…どうやら口うるさく必要性を説かれたらしい。
まぁ、暇とまではいかないけれど時間はあるのでやってあげることもできよう。
それでも、吸血鬼の会心術と、魔法使いが操るそれとでは根本的には少し違うのだと、そう断ればハリーは困ったように眉を潜めた。
今回ばかりは、助けることは難しそうだ。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年9月2日 3時
