見抜く鉄黒色。 ページ9
○
カチッ……カチッ……
時計の秒針が動く音だけが響く。
時折ペラっと捲られる紙の音。サラサラと丸をつけていく軽快な音。
淹れたての三ツ矢サイダーの泡がシュワシュワとしているのを眺めているとやっくんが机の下で足を踏んでくる。
「いだっ……」
「ちゃんとやれよ。」
「1問しか進んでねーぞ。」そう声をかけられてハッと我に返り、「あぁ、」と声がかろうじて出てくる。
「どうしたよ。やっと南に会えたのにまた上の空か？」
なんて茶化してくるのは海。
『何かあったの？』
なんて読んでいた本をパタンと栞を挟んで閉じながらこっちに来る南さん。
「いやっ、あのさ、南さん。」
『どうしたん。』
そう言われて思わず息が詰まるが
「いやさ、来週からバレー部で合宿あるんだけどさ、そのマネージャーしてくんね？
多分、人数足りないから。」
なんてよくつらつらと言葉が出てきたと自分でも思う。
いつもの余裕なんてなくて。
恋でもないこんなよく分からない感情。
まるで獲物に狙われたような。
少し鋭い視線が自分に突き刺さる。
『あーそれ。もしかして稲荷崎高校来たりする？』
『ま、どっちでも引き受けるよ。』
「なんで知って……
南さんってそっちに人脈あったの!?」
そう驚いてるとスマホをこちらに見せて『知り合いが稲荷崎。来るって話聞いてて東京観光する予定だったから。』
やっくんも海までもがえっという顔をしていた。
『それ、引き受ける。
そうしたらきっと図書室の利用許可時間延びるだろうし。
逆にありがたい。』
そう言って机の方にさらに歩いてくる。
手をとんっと机の上に置いて俺のノートを見ると『これ、違う。』と1問しか解いてない数学の問題を指さした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 255人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
びとうぃーん。(プロフ) - らうさん» コメントありがとうございます！研磨君ですね。続編ではそこそこの段階で絡ませる予定ですのもう少々お待ちください！ (2022年10月9日 14時) (
レス) id: 8763e2b648 (このIDを非表示/違反報告)
らう(プロフ) - すごく面白くてお気に入りの作品です！！よろしければ研磨くんとの絡み見たいです、、、これからも応援してます！ (2022年10月9日 13時) (レス) @page46 id: 246f941ca2 (このIDを非表示/違反報告)
びとうぃーん。(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！これからも出来るだけ更新し続けららるよう努力致しますので今後ともよろしくお願いします！ (2022年10月6日 7時) (レス) id: 8763e2b648 (このIDを非表示/違反報告)
りん - すごく面白いです！更新頑張ってください！！ (2022年10月5日 23時) (レス) id: a9de40c3c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：びとうぃーん。 x他1人 | 作成日時：2022年9月24日 16時
