噂の瓶覗色。 ページ1
○芝山side
カラン……
ここ、音駒高校の図書室は東京の公立高校の中でも一二を争う広さだ。
そんな図書室に来客があったらしい。
『ん…いらっしゃい。』
中に入ると図書室独特の匂いとたくさんの本が出迎えてくれる。
“本の虫”とまで言われた女性は放課後の部活動の時間でさえもこの図書室にいる。
もちろん、図書委員は交代ごうたいで入っているようだが、それも昼休みの1時間にも満たない時間だけであり、彼女は常勤となっているらしい。
そんな噂は嫌でも耳に入ってくる。
「あの……本の返却をお願いしたいんですけど……」
『分かりました。
学年、クラス出席番号をお願いします。』
パタッと借りていた本をカウンターに置くと彼女は椅子と共に僕の前に来る。
分厚いファイルの中には全校生徒のバーコードがあり、そこを器用にピッピッと反応させていく。
「あ、1年4組15番の芝山優生です。」
そう自分が声を出すと復唱するように『おっけー。1の4の芝山くんねー。』とファイルをペラペラ開きながらバーコードを指で探す。
『はいっ。返却完了したからお好きにどうぞ。』
『この本はこっちで片付けておくから』言われて僕は特に借りたい本も思いつかなかったので図書室を後にしようとドアへ歩き始める。
(思ってたより怖くない人だった。)
それが一番の感想だった。
本を借りに来た時はあくまで授業中の学校案内でクラスのみんなで本を借りた時であり、彼女。南さんとは合わなかったのだ。
南さん自体、あまり良い噂はなく根暗、陰気臭いなどそんなイメージであった為少し拍子抜けした。
そう思うと少し心に余裕が出てきたのか辺りを見回してみた。
広い図書室には勉強スペースが確保されていて数人があーだこーだと話し込んでいる。
勉強スペースの前の方にはホワイトボードがありよく分からない数式がずらりと並んでいる。
“お好きにどうぞ”という貼り紙があるがとても使えない。
(今度、リエーフと犬岡くんも呼んで3人で勉強しようかな。)
幸いホワイトボードはもうふたつあるようで勉強スペースにいるもう1組は3人の生徒のうち1人が先生、2人が必死に勉強している生徒のような構図になっている。
(あんな使い方もあるんだなぁ。)
そう感心していると誰かがこの図書室に入ってきたのかカランっとベルが鳴る。
あまり大きくはないがしっかりと誰かが来たことは分かる……そんな音量だ。
その音ではっ、と我に振り返り出入口へと止めていた足を進める。
(こんなとこもあるんだな……不思議。)
ただそれだけだった。
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びとうぃーん。(プロフ) - らうさん» コメントありがとうございます!研磨君ですね。続編ではそこそこの段階で絡ませる予定ですのもう少々お待ちください! (2022年10月9日 14時) (レス) id: 8763e2b648 (このIDを非表示/違反報告)
らう(プロフ) - すごく面白くてお気に入りの作品です!!よろしければ研磨くんとの絡み見たいです、、、これからも応援してます! (2022年10月9日 13時) (レス) @page46 id: 246f941ca2 (このIDを非表示/違反報告)
びとうぃーん。(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!これからも出来るだけ更新し続けららるよう努力致しますので今後ともよろしくお願いします! (2022年10月6日 7時) (レス) id: 8763e2b648 (このIDを非表示/違反報告)
りん - すごく面白いです!更新頑張ってください!! (2022年10月5日 23時) (レス) id: a9de40c3c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:びとうぃーん。 x他1人 | 作成日時:2022年9月24日 16時