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「でも魔物達が恨んで人間と争いになるかもしれないじゃないですか
それは避けたいんです!でないと、私は聖剣の乙女だから、
クロード様を斃さないといけなくなっちゃいます...!」
「不遜なお言葉ね。クロード様はまだ人間でしてよ。聖剣では斃せません。
というわけで____」
しょげてかまってもらえる暇をリリアに与えず、アイリーンは優雅に微笑んだ。
「あなたの出番はないので、すっこんでらっしゃいな。
それより皇妃の勉強をちゃんとなさった方が宜しいのではなくて?
あまりいい噂を聞きませんけれど」
「...ア、アイリーン様のいじわるっ」
立ち上がったリリアが、泣きながら駆け出す。
それを慌ててセドリックとマークスが追っていった。
ふうと肩から息を吐き出したアイリーンは、アーモンドを呼ぶ。
「クロード様の力が及ばない可能性があるわ。
あの三人がちゃんと森の外に出るまで、空から目で見張って頂戴。
近づきすぎては駄目よ、聖剣の乙女の力は本当だから」
「分カッタ!」
ベルゼビュートの頭の上にのっていたアーモンドがばたばたと飛び去っていく。
聖剣の乙女が現れた。
魔王を狙う者は、まずクロードを魔物にするために、一番狙いやすいキースを狙う。
彼は人間だから。
「...キース、疑われるだけの何かがあるのか」
ぽつりと尋ねたクロードは、本当は気づいているのかもしれない。
ちらと見ると、廊下にはキースがいた。
アイリーンが目配せすると、一度天井を仰いでから、つかつかとクロードの元まで歩み寄る。
そして、頭を垂れて跪いた。
「____クロード様。私めは、あなたに話さねばならないことがあります」
「....言ってみろ」
「でーすーがー、それはね。アイリーン様に言われた仕事を終えるまでお待ち頂きたい。」
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