【銀魂】Sleeping PrincessⅡ (ページ22)

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第六十六訓ページ22

浪士組の時からあまり大きく変わってはいないものの、お上公認の立場となってからは大手を振って歩けるようになったこともあり動きやすくなった

パトカーでの巡回、隊内用携帯電話の支給、バズーカの使用許可、隊員の増加諸々…

それなりに待遇も良くなったことによって捜査範囲も広がり捜査方法も格段に効率が上がった

…偶に松平長官のパシリに使われるが

「ハッハッハ、毎度のことながら朝から元気がいいなァ」

『あ、山南総長、おはようございます』

沖田の前席に腰を下ろした男は山南刑事(やまなみけいじ)
警察になるために生まれてきたかのような名前のこの男は真選組の総長を勤めている

副長である土方をサポートする真選組でもかなりの切れ者

近藤たちとは武州からの付き合いらしく、文武両道でその人柄の良さから隊士たちにもかなり慕われている

木野派(このは)一刀流免許皆伝というだけあって稽古時の完成された動きに、Aも何度か手合わせしてもらっていた

剣術もさることながら柔術の名手としてもその界隈では有名だそう

沖田も昔からの仲だからか″山さん″と慕っているぐらいだ

かく言うAも真選組内で数少ない尊敬できる人物の一人として彼を慕っていた

何故なら

『総長、この間のロールケーキ、ありがとうございました！超絶美味でしたアレ！！』

「それは良かった、君なら絶対気に入ると思ったよ」

Aと嗜好が抜群にマッチしており、真選組内でも数少ない甘味好き仲間

いかつい見た目に反して甘味通というギャップを持ち合わせる彼にはかなりお世話になっている

＿師匠ー、そろそろ時間ですよ、市中見廻り行きましょう

呼びに来た立花に一声かけ、Aは山南に向き直った

『今度オープンする新店、富士屋って知ってますか？』

「もちろん、俺も目を付けていた店の一つだ」

『オープンしたら是非一緒に行きましょう！一週間、2割引きセールやるらしいので！！』

「そりゃ良い！全品制覇だ！」

ガシッと手を握り合い、見廻りいってらっしゃいと言う声を背にAは立花の元へ向かった

「「……」」

黙って二人のやりとりを見ていた沖田と土方は目をパチクリとさせる

「山南さん、あんたいつの間に柊と親しくなったんだ？」

「あんなキラッキラした目の柊、初めて見やした」

「なあに、ただの甘味愛好同盟の同志さ」

ハッハッハ、と笑いながら食事を再開する山南に首を傾げながら二人も箸を動かし始めたのだった