【銀魂】Sleeping Princess (ページ17)

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第十六訓ページ17

＿あれが木刀じゃなくて、真剣だったら…師匠はどうしてたんですか

真剣だったら、か…

『そんなの、頭を守ろうが手を守ろうがあの状況じゃ死ぬだろうね』

相手が余程下手くそな使い手であっても致命傷は免れないだろう

『まあ、それでも…それでも私は手を庇うよ』

これだけは断言できる

「どうして、そこまで…」

困惑した様子の立花にまたAは断言した

『言ったでしょ、私は剣と共に生き、剣と共に死ぬの』

まだ納得はしていないようだがAの真剣さは伝わったのか、それ以上立花は何も言わなかった

暫く無言で街中を進む
立花の背中から江戸の街を眺めながら、Aはなんとなく笠の位置を調節した

「ところで師匠」

『今更だけどその師匠ってのやめてくれない？認めないって言ってるでしょ…』

文句を垂れながら続きを促すと、振り返った立花は引きつった顔をしていた

「大江戸病院って……どこでしたっけ？」

『………』

____

__

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「いやー、良かったですね師匠！全治一か月ですって！」

『何も良くないんだけど、重症なんだけど』

大江戸病院を出て帰路につく頃にはもう外は橙色に染まっていた

右足はぐるぐるにギプスで固定され、両手で松葉杖をつくA

靭帯は部分断裂を起こし、しかも足首の骨にヒビが入っていた

医者には絶対安静を言い渡されおよそ一か月はこのままだという

『はぁ…これじゃまともに稽古もできない』

これから一か月、どう過ごせというのか

「……」

『……』

隣りから何かキラキラとしたデジャブを起こさせる視線を感じる

『何…』

「師匠！是非俺に剣術の指南をお願いします！」

待ってましたと言わんばかりの勢いで、立花は答えた

『指南も何も、これじゃ相手できないでしょ』

「試合じゃなくていいんです！俺の稽古を見て頂きたいんです！」

そうは言っても…

『今朝も聞いたけど、何でそんなに私にこだわるの？他にもたくさん流派はあるし、私じゃなくてもいいじゃない』

Aの稽古姿をちょくちょく見ていたとは言うが、話したのは今朝が初めて

何故そこまで頑ななのか皆目見当がつかない

「それは…」

『…それは？』

「…何となく、ですかね！」

『……はぁ？』

もうこの男を理解しようとするのはやめよう
頭が痛くなるだけだ

「でも、俺はさっき確信しました！師匠の侍としての想いの強さは本物です！俺はそんな師匠について行きたい、今はそれじゃ駄目ですか？」