chapter3 ページ8
そんなわたしたちの関係が少しだけ変わった日
ふたりと出会って約一年
つまり、あのクソ男と別れて約一年
そもそもあのクソ男とは、ユンギ先輩への気持ちを満たすための一時的な付き合いだった、と
今ではそう自己解釈してる
JM「A、あれユンギヒョンじゃない？」
TH「え、話しかけてきなよ」
「や、むりだよ」
本当はお店に入った瞬間から気づいてた
グレージュの少し色落ちした髪色
アイスアメリカーノを飲む、落ち着いた横顔
周りを見たら、ひとりっぽかったから、ちらちら視線を送ってた
ジミンが存在に気づいて
テヒョンが茶化す
だってだって、ユンギ先輩はわたしのことなんて絶対覚えてない
TH「いけよ、ひとりじゃん、進展ないまま終わっていいわけ？」
もっともなことを言われて、心臓が変な音を立てて
意味もなくジミンのリュックの紐を弄る
JM「Aの気持ち次第だけど、後悔しそうなら、行ったほうがいいんじゃない？」
ゆっくり言葉を選ぶように、わたしを後押ししてくれるジミン
その言葉に少し安心して、携帯だけ持って席を立つ
連絡先くらいもらえよって、的確なアドバイスをくれるテヒョンと
大丈夫だよって笑顔を向けてくれるジミン
ふたりに、ぐっと親指を立ててみせて
自分の気持ちを落ち着かせた
なんだそれ、って言うテヒョンの笑顔を目の端に捉えて、ユンギ先輩のいるカウンターに足を向ける
少し小柄な彼は、ストローを咥えて、片方だけイヤホンをつけてた
「ユンギ先輩、」
わたしがそう声をかけたら、びくっと肩を震わせて、驚いたようにこっちを振り返って
目の中に、だれと書いてあった
「あの、入学式の日、助けてもらっ…」
まで言ったら
ああ、って聞こえるか聞こえないかくらいの音量で、呟いて
片耳のイヤホンを取る仕草でさえも
瞬間瞬間を切り取りたいという願望からなのか、ゆっくりとスローに移って
かっこいい、とおもった
ユンギ先輩が、自分の隣の席に置いてたリュックを床に下ろしてることに気づいたのは3秒後
座る？という声を聞いたのは、そのまた2秒後だった
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ray(プロフ) - ぽんずさん» ありがとうございます！楽しんでくださる方がいて嬉しい限りです^ ^ (2020年9月12日 14時) (
レス) id: 6deec65d7c (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 言葉選びが素敵で、ストーリーも楽しみにしてます！ (2020年9月12日 2時) (レス) id: bbaf3f1256 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ray | 作成日時：2020年8月15日 20時
