【APH】うたたね

□四十四話 ページ46

菊side


「もしもし、本田です。…はい、Aさんがどうしましたか？……はい…えっ…？あの、今なんと……Aさんが…亡くなった……？」


清々しいほどに晴れた朝。
Aさんのお母さんから連絡があった。


Aさんが、亡くなったらしい。


もともと、Aは小さい頃、体の弱い子でした。

「…やはり…あれが原因か…」

思い当たることがひとつ。

昔、Aが病気にかかり、心臓の一部の移植が必要になったときがありました。
そのとき、戦時中に亡くなったAさんの、ずっと冷凍してあった身体のことを思いだし、その身体を使いました。

戦時中に亡くなったAに感謝の念を込め、今のAさんの名を『A』とつけられました。

ちなみに、今のAさんは戦時中に亡くなったAさんの子孫です。
だからか何なのか、顔もかなり似ています。

もう200年以上昔のことなのですが、Aさんの描いた自画像が今でも残っているので、顔ははっきり覚えているのです。


嗚呼、しかし、Aさん、また亡くなってしまったのですか？

私は、いつの間にか貴方に惹かれていたようです。

もっと隣にいたかった。
もっと一緒に笑っていられたら。
もっと、もっと、もっと…

嗚呼、Aさん。
また、会いたい。

…冷凍しておいたら、いつかまた会えるでしょうか。

きっと、会えますよね。

待っていてください、Aさん。
今、貴方の身体を冷凍しに行きますね…
また来世で会いましょう。


『＿次のニュースです。××県○○市△△病院で、Aさんの遺体が盗まれた事件です。犯人は未だ分かっておらず、引き続き調査を進める予定です＿』

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