【APH】うたたね

▼十一話 ページ12

その夜、私はちゃぶだいの上に日帝さんから戦争記録係の勧誘を受けたことを書いた手紙を残してから、いつも通り寝た。

いつもより一時間遅い、九時頃やった。


その日は珍しく夢を見た。
日帝さん…いや、菊が勉強を教えてくれる夢やった。

なんかめっちゃ平和で、父さんもおって、母さんも台所におって、菊もちゃんと人間味のある菊やった。

ああ、幸せやなあ…
とか思っとったら、急に目の前が歪み出した。

ぐにゃり。

一瞬目を閉じて、もう一回開けたら、そこは何もない世界やった。


白一色。


壁も床も何もない。
どこまでその白が続いとるのか分からへん。

私はただただ怖くなって、逃げ出そうとするんやけど、どこまでも続く白い世界は終わらない。


布団をはねのけて飛び上がるようにして起きた。

なんやったんやろう…


起きてからもずっと、白い世界のことが頭から離れんかった。

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