日曜日の幻想 ページ4
仮眠から目覚めてすぐに白馬さんへと連絡をとり、その後コナン君にもメールを送った。ヘリコプターの中に置いてきてしまったバイオリンやその他の荷物を、今日の夕方に会う約束をしていたコナン君が預かってくれていることが分かったからだ。
その後すぐに返事を返してくれたコナン君と数回のやり取りを行い、私が一度毛利探偵事務所に寄って荷物を受け取ってから彼と一緒に阿笠邸に向かうことになった。
『−−−今日の夕食、どこで食べようかな。』
道すがら流れ行く看板を眺めつつ、練習後寄るのに丁度良い飲食店を物色していく。充分に睡眠が取れたためか、頭が大分スッキリしていた。
『−−−昨日はフレンチだったから.......今日は和食が良いかな。』
毛利探偵事務所の隣にある"いろは寿し"を一度眺めてから踝を返した時に、丁度目の前の道路を一台の車が通り過ぎた。
『.............あれって』
その車に目をやったのは偶然で、時間にすればほんの一秒も満たない間だったのだけれど、その瞬間に車の運転席と助手席に座る人物が見えてしまった。運転していたのは、やや色黒の肌に色素の薄い髪をしている彼で、助手席にはブロンドヘアーの女性を乗せていたようだ。思わず、ふうん、と声をこぼしてしまう。
『........ちゃんといるんじゃない。そういう女性(ひと)』
少しだけ気分が落ちてしまったのは、きっと、彼にそっくりな−−−かつての想い人を浮かべてしまったからだろう。一度だけ溜息を吐くと、事務所の入り口まで続く階段を勢いよく駆け出した。
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