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コナン君がそう首を傾げれば、毛利先輩の隣に立つ茶髪のボブヘアーをした彼女が右手をヒラヒラとさせた。カチューシャがアクセントになっていてとてもよく似合っている。
「無理無理。ここの防音対策は完璧よ。ホール内の音が外に聞こえないのは勿論、外からの騒音も例えサイレンが鳴ろうが選挙カーが通ろうが中には聞こえないんだから。」
話の外野から、へぇと彼女の説明に耳を傾けていれば隣に座っていた千秋が慌てて立ち上がった。
「え、毛利先輩?」
「あら?青柳さんじゃない。」
あわあわと、らしくもなく慌てている千秋の様子に目を丸くすれば、私の疑問を代弁するかのようにコナン君が知り合いなの?と毛利先輩に訊ねてくれた。
「えぇ、そうよ。だって、青柳さんは今年入ってくれた空手部の後輩だもの。」
ねー?と微笑む毛利先輩に、千秋は顔を真っ赤にしてコクコク頷いていた。千秋は、私の袖を静かに引くや、毛利先輩が空手部の主将なのと囁いてくる。彼女が空手部に入るキッカケを作ってくれたのがこの毛利先輩だった、ということらしい。
「緑川さんは−−−この間ぶりよね。あの後は......その.....」
毛利先輩に会ったのはこの間のチャリティーコンサートの時で、あの騒動のせいで随分と心配をかけてしまったようだ。
『......特に変わりなく過ごせています。コナン君のお陰で怪我もしませんでしたし。それよりも、折角来ていただいたのに.........あんな事になってしまって。』
すみませんと頭を下げて謝れば、毛利先輩は気にしないで、と首を横に振ってくれた。貴女に何事もなくて良かった、と微笑む彼女に笑みを返すと、毛利先輩の左肩に顎を乗せてカチューシャの彼女が顔を覗かせてきた。
「−−−もしかして、貴女が緑川Aさん?」
『はい。えー....と。』
「鈴木園子よ。よろしく。」
意思が強そうな顔立ちの彼女はニヤリと笑った。鈴木先輩が毛利先輩から離れて私の傍までやって来る。
「啓太叔父様からきいたわよ。今度、うちのパーティにゲストとして来てくれるのよね?」
啓太叔父様という言葉と鈴木という名字に、思わずヒクリと口元が震えた。
『−−−あの......もしかして鈴木先輩は鈴木財閥の......。』
「そうそう、一応ね。」
『...........っ、この度はパーティにお招きいただき』
「あー、良いってそんなの。もう堅いわね!そんなの良いから、園子って名前で呼んでよ。」
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