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「そうそう。君のマネージャーさんだという人から、そこで受け取ったんだけど。」

『確かに私のです。ありがとうございました。』



両方とも左手で受け取る。高木刑事の後ろ姿を見送り後、ずっしりと重い鞄を覗き込めば、制服や勉強道具、そして一枚の封筒が入っていた。封筒を開けて覗き込めば、クレジットカードとメモ用紙が入っている。メモには"貴女には、厄除けの方が良かったかもしれませんね"と文和さんからのメッセージが書いてあった。そういえば、彼からもらった学業成就のお守りもあの手提げバッグにつけていたのだ。貰ったその日にダメにしてしまうという縁起の悪さに溜息をつきたくなった。


「ーーーマネージャーさんにも怒られちゃった?」


私の暗い顔を誤解したらしいコナン君に首を横に降る。





『ーーーカード、貰えたから暫くの生活は大丈夫そう。』

「ーーーそっか。でも、何かあったらいつでも言ってね。」

『ありがとう。コナン君は一人でも平気?』

「大丈夫。僕は高木刑事に送ってもらうから。」

『そっか。じゃあまた月曜日に、阿笠さんのお宅で。』



私は警察の人にタクシーを呼んでもらうとひと足先に警視庁を出ることにした。





「ーーー先程のメモ、落ちましたよ。」


声をかけられて振り返れば、秀一さんの手には白い紙。私は今にも彼に抱きつきたくなる衝動を抑えながら、震える手で受け取った。


『ーーーありがと、ございます。』

「いえ、お気をつけて。」


秀一さんの後ろ姿を見送ると、丁度タクシーがきたらしい。開けて貰ったドアから車内に乗れば、高校の最寄駅を告げた。どうせホテルを取るなら通学がラクな所が良い。


運転手の了承する声を聞けば、静かに背中を座席に沈ませた。疲れがどっと出てきたようで酷く身体が重かった。そして、ふと、気づく。


『ーーーっ、すみません運転手さん。』




未だに手に持っている白い紙を弄れば、明らかに文和さんがくれた物とは違う紙質、字体が見えて息を呑んだ。

『ーーー目的地を米花サンプラザホテルに変更して下さい。』

「ーーーわかりました。」








"君の部屋は確保済。今夜21時に俺の部屋で会おう"




指で彼の文字を辿ると、心がポカポカと暖かくなった。

手負いの二人→←▼



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設定タグ:赤井秀一 , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:ミステリー
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作者名:ナツメ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年12月9日 22時

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