▼ ページ40
それから暫くして落ち着いた後に、これまでのように勉強を教えてもらっていたのだけれど。
「そういえば−−−」
秀一さんがアメイジング・グレースをリクエストした際の私の反応が気になるらしい。なぜ、盗聴器を疑ったのか、と。
『アメイジング・グレースのセッションをする予定なの。』
「−−−−セッション?」
来週末のチャリティーコンサートのこと、色々あって少年探偵団と演奏することになり練習中であること等を簡単に説明した。
『みんな良い子達でね、明日の春スキーに私も誘ってくれたんだよ。』
「ーーーそうか。」
『スキーも、バスに乗っての移動も久しぶりだからね、実は少しわくわくしてるんだ。』
秀一さんは苦笑を零すと、誰が保護者なのか分からんなと小さく呟いた。........聞こえてますよ。
『でも、本当にそう。この間転校してきたばかりだっていう女の子も一緒に行くんだけど.......とても大人びた子でね。小学一年生のはずなのに、まるで自分よりも年上の人と話しているようだった。』
「ーーーほう。」
『.....スキーの件もね、同行して良いかその子にも了承をもらおうと思って聞いたら−−−馬鹿ねって。そんなこと気にしないで貴女の好きにしたら良いんじゃないのって、言われちゃった。』
「................。」
『あの、秀一さん?』
「ーーーあぁ、」
考え込んでしまった彼に首を傾げれば、彼は私の様子に気がついたのだろう。
「そろそろ問題に移ろう−−−次はこの問だ。」
しかし、気にするな勉強を再開しようと言わんばかりの彼の態度に、秀一さんが一体何を考え込んでいたのか特に追求することもできないまま、新しい問題の波に思考を沈ませることとなった。
152人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「降谷零」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ