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【〇月◇日
一番隊隊長
沖田 総悟
攘夷浪士捕獲のためバズーカーを使用。
破壊された店の賠償金***万求む。】
そこには、俺が先程書いた始末書兼請求書と同じ文字が書かれてあった。
「……お前、文字書けたのか?」
俺が書いたやつはすでに引き出しの中に仕舞っているはずだ…つまり先程俺が書いていたのを覚えて書いたっていうことか?
「いやいや、それはないだろ…」
考えをふりきるかのように、ブンブンと首をふる。
「いや…だってアレだぞ?コイツは二才児だ。ナイナイ。」
俺は首筋に冷や汗を感じながらも、Aが再び腕を動かし始めたらしくもう一度そのメモ紙をのぞいた。
【His love for her blinded him to her faults. Love is blind!(愛するあまり彼には彼女の欠点が見えなかった。恋は盲目!)】
「……って、日本語ですらねェェェェェェ!!!しかも何?お前いくつだ?愛だのなんだの言える歳じゃねェーだろ!!」
俺が否応なしに叫んだからかAは肩をビクリと跳ねらせた後、体をねじって俺の膝から降り、そのままタタタと副長室から走り去ってしまった。
ヒューー…と、開けっ放しの戸から冷たい風が部屋いっぱいに広がる。その肌寒さが物理的によるものなのか、気持ちからくるものか判断しがたかった。ガキに大声は禁忌らしい。またやっちまった、と思ってももう後の祭りだった。
「あーあ、土方さん。まーたやっちまったんですかぃ?」
「うぉあ!!てめッ、いつの間にここに入ったんだよ!!」
Aが出て行った側と反対の方、つまり俺の背後に総悟は壁に寄り掛かって腕を組みながら立っていた。そのまま腕を解くやいなや、俺の許可なしに腰を降ろしてくる。
「こんな簡単に後ろをとられるなんざ戦場では命取りですぜ。」
「うるせぇよ。」
Aも出ていったこともあり、俺はさっそくタバコを取出すと火をつけた。それを黙って見ていた総悟に、なんだよという意味をこめて視線を向けると奴は徐に話し始める。
「…土方さん、Aの前では全然タバコ吸わないんですねィ?」
「……。ずっと、てなわけじゃねェーがな。だがいつもよりは控えているつもりだ。」
俺がそう言いながら煙をはくと総悟が心底驚いたような顔をした。
「へー」
総悟の言葉を遮るように、少し開いていた戸が勢い良く開かれる。予想していた展開に俺はタバコの火を消す。
『クスン……スン…ヒック』
そこには近藤さんに抱きついているAがいた。
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