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「赤ん坊に貰ったお菓子を食べたらこうなったんだけど。」
ツナは雲雀の言葉に勢いよくリボーンを振り返った。
「どういうことだよ、リボーン!!!」
「ボンゴレで開発したキャットクッキーだぞ。食べた奴は猫になるんだ。まさかアイツが食べるとはな。」
「な!?クッキーで猫!?そもそもなんでそんなものを雲雀さんに!?っつーか、Aを早く戻せよ!」
「すぐには無理だな。だが、日没になればすぐに戻るはずだぞ。」
「ふーん…なら、それまでは僕が預かるよ。」
リボーンに文句を言っているツナを余所に雲雀はポツリと呟いた。
「い、いや。雲雀さんにそこまで迷惑は」
「沢田綱吉、僕に意見するの?」
トンファーを構える雲雀に、ツナはヒィィィと悲鳴をあげる。今にも雲雀がツナを咬み殺そうとした時に雲雀の懐にいた子猫が鳴いた。ガサガサと爪の立っていない肉球で雲雀の頬を摩って、早く暖かいところに連れて行け、と抗議をしている。
「今度グラウンドで騒いだら咬み殺すから。それじゃ、またね赤ん坊。」
「ちゃおちゃお。」
雲雀はトンファーをしまうと、唖然としているツナをそのままに応接室へと戻っていった。
――…
「良かった…それでは日が暮れれば元に戻られるんですね?」
「僕に二度も言わせる気?」
「い、いえ。あの委員長?一体何を――」
草壁の視線の先。頬杖をつきながらも、先程他の風紀委員に買ってこさせた猫じゃらしを片手に子猫を弄んでいる雲雀。二人(今は一人と一匹)とも目が真剣で、草壁は近寄れないでいた。
『ミ!』
猫じゃらしをヒョイと上げて子猫の突撃をかわす雲雀。雲雀のデスクの上で子猫はドタリと倒れた。
「…見てわからない?彼女を鍛えているんだよ。」
『ミ"ィー!』
「そう…悔しいのなら、もっと相手の動きを見なきゃダメだよ、A。」
楽しそうに笑う雲雀に草壁は苦笑することしかできなかった。
ヒョイ
「まだまだ甘い。」
ヒョイ
「…今のは惜しかったね。でもまだ遅い。さぁ、もう一度来なよ。」
ヒョイ
「これくらいでバテるの?早くコレを捕まえてみなよ。」
ヒョイ
「ダメだね。もう一度だ。」
Aは無事に元の姿に戻ることができたのは、それから半刻後だった。
(リボーン!なんで雲雀さんにあんな物渡したんだよ!)
(雲雀は意外と動物好きだからな。どうせ贈るなら雲雀が喜びそうなアレを、と思ったんだぞ。それと面白そうなクッキーだったからな、実験だ!)
(言い切るな!!)
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