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水野さんとお菊さんは残念ながら子供に恵まれなかった。けれど、どうしても子供が欲しかったお二人は、一度、養子を貰ったらしい。その子はまだ乳飲み子で、本当の自分達の娘のように育てたあげたけれど、どうしても彼女が養子であることを告げられなかったとのこと。ある日、自分の出自を知ってしまった娘さんと水野さんは大喧嘩をしてしまい、ついには家を出ていってしまった。その娘さんとはそれきり会っていないらしい。
「………失って初めて分かるとは、よく言ったものです。皮肉なものだ。」
哀愁を漂わせながらそう呟いた水野さんに僕は何も言うことができなかった。
その時だった。
「あのガキと一緒にいたのはこいつらだな!」
河川敷の上流から、幾人もの天人が武器を構えてやってきた。そいつらは僕達が呆然としていた一瞬の隙を狙って、水野さんの首元に刃を当てている。
「このジジイを思うなら俺達と一緒に来てもらおうか。そっちのチャイナ服もだ!」
僕達は彼らの要求に従うほかなかった。
――――――…
情報収集のために歌舞伎町に来ていた、一見すると少女に見えなくもない青年−−−−−−白夜が表通りに出ると、白夜叉の後ろ姿が目に入った。
「あいつは――」
距離はおよそ三百メートル。彼はサングラスをかけると腰にかけてある刀の鞘に手を置く。
「――今日は、運が良い。」
ニヤつく口をそのままに白夜は足に力をこめた。
ザッ
距離…一メートル。
そのまま白夜叉の体目掛けて刀を振り落とした。
(…もらった―――)
ガッ
(――――!!)
「…おいおい、挨拶もなしにそれはないんじゃないの?ったくホント最近の若者はしつけがなってねェな。チャンバラやる前に礼儀正せ、礼儀を。」
彼の刀は前をむいていたはずの白夜叉の木刀でとめられていた。
「…それは悪かったな。一発であの世に逝くと思ってたもんなんて゛…ねッ!」
刀に力をこめれば木刀がギシギシと軋む。白夜叉の「クソッ」という声が小さく聞こえた。状況をようやく察した周りのやじ馬どもが黄色い声をあげる。それに状じて、白夜の刀を弾き返した白夜叉はターゲットを脇に抱えて裏路地へと逃げ出した。
シャラン
その瞬間微かな鈴の音が耳を掠る。
「――この音は…」
白夜はすぐに白夜叉の後を追った。
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早桃 - めっっっちゃ好きです、、、。これは神作品に出会ってしまったぞ!続きが気になりすぎますゥ゛ゥ゛ゥ゛! (2022年4月5日 23時) (レス) @page31 id: 636f4996a9 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - ナツメさん» よろしくです!! (2020年6月11日 7時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - printemps(プランタン)さん» プランタン様、コメントありがとうございます!更新を喜んでいただいて嬉しいです。今後ともよろしくお願いします!! (2020年6月11日 2時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - わーい!更新されてら (2020年6月9日 9時) (レス) id: adf0bec428 (このIDを非表示/違反報告)
ナツメ(プロフ) - 常夏さん» 常夏様、返信が遅くなり申し訳ありませんでした。コメント、ありがとうございます!!今回漸く更新しました。スローで申し訳ありませんが、頑張って今後も更新できればと思います^_^ (2020年6月9日 4時) (レス) id: a56d032004 (このIDを非表示/違反報告)
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