天才バイオリニストJKがコナンの世界に転移したらvol.4【赤井秀一】【安室透】【名探偵コナン】 (ページ8)

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思い出に灯すものページ8

着信の音が聞こえて目を開ければ、またまたベッドの上だった。はっきりしない意識を打ち払いように瞼を擦りながらスマホの画面を見やる。

着信の相手は、安室さんだった。
起き上がりホテルの備え付きの時計を見れば、彼との待ち合わせ時間の5分前で、思わず時計を二度見してしまう。おかしい。快斗君との会合は午前中だったはず。それなのに、今は夕方だ。どうして、こんなにも眠りこけてしまったのだろう。そうやって現状を理解すると徐々に血の気が引いていき、慌てて通話ボタンを押した。

『－－－－すみません！安室さん！寝過ごしました！今からマッハで待ち合わせ場所に行くので少し待っててもらえますか？』

相手の反応を確かめる前に、思わず捲し立ててしまう。それから彼の返答を窺えば、返されたのは意外にも控えめな笑い声だった。

〈－－－－慌てなくて大丈夫ですよ。僕は車なので、迎えに行きます。〉

申し訳なく思いながらも辺りを見渡せば、ここが宿泊しているホテルの自室であることを確認する。米花サンプラザホテルの名前を伝えれば、10分後に迎えにきてくれることを彼は快く了承してくれた。彼との通話を終えた私は慌てて出かける準備を始めることとなった。

－－－－－……

『……ここは…遊園地、ですか？』

「はい、トロピカルランドです。」

全身を黒に身を包めた安室さん。徐々に暗くなっていく景色と、夕闇に霧散するように彼の存在が極限まで薄まっているようだった。もしかしてこれまでここに来たことは？と訊ねられたため、素直に初めての来訪であることを肯定する。既にチケットを購入していた安室さんを凝視すれば、彼は首を傾げた。

『……寝過ごしてしまった私が言うのもなんですけど、遊園地に行くんだったらもう少し早い時間帯に待ち合わせた方が良かったんじゃ。』

ゴールデンウィークとは言え、時間帯も時間帯だからだろう。疎らというわけではないが、お客さんの数が徐々に減り始めているようだった。それに、トロピカルランドの敷地面積は広大で、そのアトラクションの数はとても多いと聞く。今の時間帯からでは、とてもじゃないけれどその全てのエリアをまわりきることはできないだろう。

「…あぁ。それなら、問題ありません。巡るところは決まっていますから。」

そう言って彼が指し示す場所は遊園地には欠かせない－－－－－観覧車だった。