天才バイオリニストJKがコナンの世界に転移したらvol.4【赤井秀一】【安室透】【名探偵コナン】 (ページ11)

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ゴンドラの扉のロックが解除された。スタッフの方達が笑顔で"おかえりなさい"と迎えてくれる。こうして何事もなく地上に降り立つことができたのは、先程の仮の話とは違い、ここに爆弾なんてものは設置されていないからだ。安室さんの手を借りてゴンドラから降りると、彼は微笑みながら言った。

「－－－－もう一ヶ所、付き合っていただけますか？」

－－－－－…

彼に連れてこられたここは、屋内に作られたショーステージの会場だ。

『世界の…弦楽器ショー？』

私の呟きに、安室さんが続ける。

「正確に言えば、その後に開かれる弦楽器体験コーナーです。今日の分のショーはどうやら終わってしまったようで。」

ゴールデンウィーク中の特別企画らしい。ステージ上に群がる子供達が、保護者やスタッフさん達に教わりながら自由に弦を奏でていた。そんな彼らを見れば、ここぞとばかりに身体が疼いてしまう。これは職業病だろうか。

「……Aさんもステージに上がりませんか？」

『え？』

驚いて安室さんを見やれば、彼は観客席に座りステージを見上げている。

「……貴女さえ良ければ、演奏を聴かせて欲しい。」

私は視線を宙に彷徨わせながらも、口を開く。

『……リクエストは、ありますか？』

「そうですね。そう言えば……貴女自身の好きな曲とやらは、もう見つかりましたか？」

安室さんを見つめたまま小さく首を振った。零さんに酷似している彼の声色と顔を眺めていたからだろうか。ほんの一瞬の間、零さんと共に訪れたオルゴール博物館を思い描いたけれど、確かに流れていた筈の旋律が……今はまだ思い出せないでいる。好きな曲、と言って良いのかは分からないけれど、自分の記憶の中で綺麗に霧散してしまったその旋律をいつかは弾いてみたい、とどこか切望に似た感情を抱いていた。

『－－－－－ショパンの別れの曲はいかがですか？』

私の提案に彼は大きく目を見開いたため、苦笑を零してしまう。貴方自身が、私に提案した曲の一つなのだし、それ程驚くことだろうか。

『－－－－安室さん？』

「……そうですね。是非聴きたいです。お願いできますか？」

私は頷く。早速ここのヴァイオリンを借り受けるために、近くのスタッフへと足を進めた。