＊ ページ6
＊
『ねえ轟くん、父君は、エンデヴァーはどんな方？』
轟「クズだな」
『えぇ…』
轟「そんなクズの子供だと思うと、俺は時々、惨めでどうしようもない気持ちになる」
『…そう』
轟「……何も聞かないのか？」
『ええ！…いつかきっと、私に話してくれるその時を。私はずっと待つわ』
轟「…そうか」
すまねえ、と一言。それだけなのに胸がいっぱいになって泣きそうになってしまうのは、きっとその一言に彼の全てが詰まっているからなのだろう。
そこから彼が「ついたぞ」と言うまで、二人はずっと黙ったままだった。
『本日よりお世話になります、金烏Aと申します。どうぞよろしくお願い致します、』
「…精々励めよ」
『は、ぃ』
轟「おいクソ親父、金烏が悲しそうな顔してんだろ」
「焦凍ォ！！」
なんの茶番？と思った。やめろよ、なんか怖い…
轟「すまねえ金烏、今日からよろしくな」
『ええ、一緒にがんばるのだわ！』
差し出された右手を、両手で包むように握った。ふわりと優しく微笑んだ轟にちょっと驚く。うわぁ〜…そんな顔できたんだ、これだからイケメンは…と思った。
「…では早速始めるが、まずは基礎体力の測定を行う。明日からは本格的に俺の仕事を手伝っ…て、もらう」
『あ、お気になさらず、普段通りで大丈夫です！』
轟「金烏、クソ親父に気ィ使う必ねえからな」
「焦凍ォ！！」
『えぇ…(困惑)』
結局この調子で残りの数日も過ごすとは露知らず。問題は２日目からだった。事件解決数No.1なだけあって、出動要請のコールが鳴り止まなかった。
だから二人で自主練する時だって、深夜くらいしか時間が取れなかったのだ。
『私たちの個性って派手で強いけれど、やっぱりそういうところに頼りすぎて技術が疎かになりがちなのだわ』
轟「基礎的な体力は俺も金烏もあるが、やっぱ大規模すぎて周りに被害を及ぼすな」
『体育祭のあなたを見ていて思っていたのだけど、やっぱり個性って身体能力の一部ね。こう、力んで制御するより、なんて言うか…』
轟「いや、待て。言いたいことは大体わかる。こう、優しく…あの、無意識に呼吸するように、瞬きするようにっていうか…」
二人して頭を捻る。しばらく唸って、空を仰いで、うろうろして、ため息をつく。はあ、と私たちは地べたに寝そべった時、ピンとひらめいた。
『必殺技！だって思い込んでたの！』
轟「ああ！大きな力だと思い込みすぎて、無意識に力み過ぎていた！！」
『そうよ！そうと決まれば早いわ！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうな(プロフ) - 兎に苺大福さん» わああカットされた所とてつもなく気になる……！！！あんな漠然とした説明でビビッとくるの素晴らしいです笑はい！続編楽しみにしております！！ (2019年3月15日 22時) (
レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 兎に苺大福さん» むずず、可愛かったです笑筆早くないです！？びっくりしました！笑とても幸せになりました。こんな世界線があったらなあ。ifって最高ですね。ご不満一才御座いません！！ありがとうございます！！！ (2019年3月15日 21時) (レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - 兎に苺大福さん» 楽しみにしております！！リクエストですか…！私は夢主ちゃんと弔君がただほのぼのしてるお話が読みたいですね！こう、ベンチに座ってお話してるだとか、公園にいる猫と戯れてるだとか…！！…漠然とした説明ですみません汗 (2019年3月15日 19時) (レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - とってもとっても尊いです……なんだか久し振りに胸が締め付けられるお話に出会えてとてもワクワクしております！！！とても好きです！！更新頑張ってくださいね！ (2019年3月14日 23時) (レス) id: b1153871a1 (このIDを非表示/違反報告)
らる@盃(プロフ) - この作品最高です…！死柄木の小説が少なかったから…ありがとうございます！← (2019年1月13日 18時) (レス) id: 0f8ed7e297 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬谷 | 作成日時：2019年1月5日 10時
