Begin wish a dream ページ2
.
私には前世の記憶がある。
前世の記憶と言っても、それとして大それたものではなく、一部の記憶が漠然とそこに存在するだけなのだが。
その記憶の中で―――
私には好きな人がいた。生涯で最も愛した人が。あんなに好きでいたのに《その人》のことをまるで魔法でも掛けられたかのように忘れてしまっている。その人の顔も、名前も―――
「A」
どうして貴方は私を呼ぶのだろう。
その答えも、知っているはずなのに。
「なあ、A」
…
……
………
『はわ！』
ベッドから急降下した自分の額が、ゴス！と鈍い音を立てて床にぶつかった。
………愛しい人の声が、私を微睡みの底からすくい上げる。長い夢を見た、とても幸せな夢だった。根拠なんてどこにもないけれど、そんな気がする。まあ最も、三秒後にはもうその夢も忘れているのだが…
『〜〜ん』
あくびをひとつこぼして、盛大に溜息をついた。嗚呼、私は今日も、" 何か " を失ったまま息をする。
＊
『瀬呂』
瀬「大体言いたいことは察したぜ」
『……演練場大きすぎないかしら？』
HAHAHA！そう瀬呂と現実逃避をするほどには威圧感を感じていた。此処は雄英高校の入試(実技)の会場。
瀬「ちなみに俺はＣ会場な」
『えーっと……？私はＢね』
瀬「同中のやつとは一緒の会場になれねえのかな？考えてんな雄英……！」
『……偶々じゃないかしら？』
瀬「……」
『……ごめんねって』
じとり、と訝わしげに見つめられ、不満気に謝る。なんだよ、この国では発言と思想の自由は許されてるんだと思いつつも謝ったのだから、その辺は許してほしい。
『私は演練場に向かうのだわ』
瀬「 おう！ゼッテー受かろうな！！」
『もっちろんよ！！』
裏表のない笑顔で、彼は言う。どこかで緊張していた自分が阿呆らしく思える。彼女はその端整な顔を楽しそうに緩ませて笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬谷(プロフ) - siriusuさん» こんばんわ！金烏ちゃんの口調について、皆様より度々ご指摘いただいておりましたので、説明させていただきました！よろしければシリーズ４作目、一番したのHOW SHE WAS MADE？をご覧ください♪ (2021年8月19日 23時) (
レス) id: a6a69d3325 (このIDを非表示/違反報告)
siriusu(プロフ) - 〜のだわじゃなくても〜だわ〜ですわでも話の流れで違いがわかると思いますよ！ (2021年8月19日 19時) (レス) id: 13d54f4ebe (このIDを非表示/違反報告)
冬谷(プロフ) - ？さん» こんにちわ！回りのキャラと差が出るようにわざと口癖に特徴をつけています。 (2021年3月24日 8時) (レス) id: a6a69d3325 (このIDを非表示/違反報告)
？ - なんて語尾にだわっ付けてるんですか？違和感が、、、 (2021年3月24日 4時) (レス) id: 0324f0d530 (このIDを非表示/違反報告)
みゃーお(プロフ) - 地味とか言ったら失礼なんだけど地味な瀬呂君好きだから、幼馴染ポジ最高です。とってもおもしろかった！！更新頑張って下さいヽ(*´＾｀)ﾉ (2019年1月4日 8時) (レス) id: c931ecd4cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬谷 | 作成日時：2019年1月2日 23時
