【ヒロアカ】To my dearest. Ⅳ (ページ46)

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それから少しが経って、冬が訪れた。

春の彼女はしおらしく、夏の彼女はひまわりのように笑うのに、秋で再びその笑顔はひそみ、最後の落ち葉が舞って秋が死ぬと共に、彼女の笑みは枯れてしまった。理由は明確。

「金烏！お前とーちゃんもかーちゃんもいねーんだろ！」

「そういうやつのことをミナシゴって言うんだって俺のかーちゃん言ってた！」

「おい！お前らやめろよ！！！」

『いいのよ、無視！手を出したら負けって言ってたわオトナが』

「でもさ！」

『いいのよ』

ほら、いくわよ。といってさっさと歩いていってしまう。アイツがさみしい顔をするのは、最近になってどうしてだかそう言われるようになったからだ。

本人的には原因は分からんでもない、らしいけど、俺にはその原因を教えてくれはしないらしい。

「なんで何も言い返さねーの！！」

『言い返したらやめてくれるの？』

「それは……やめてくれねーだろうけど！でも！言わなきゃ伝わんねーだろ！！」

『伝わってもやめてくれないでしょう、だから時間の無駄だし、あまりキツイこと言うの好きじゃないのだわ！』

「でも！！！！」

『もー、だからなんでそんなに怒ってるの？』

お前はどうして簡単に、そうやって全部を笑ってしまうの？笑ってしまうからきっとなめられているんだ、強いから、強すぎるから、周りが弱いことを知っているから、怒ってはいけないと思ってる。手を出してはいけないと知っている。

「ねえ、おまえ、悲しいな」

『そう？私は私のことカワイソウだとおもわないし、悲しいと思ったことないわ』

「でもさあ」

帰り道を照らす夕日が嫌に眩しい。振り返ったお前の顔を隠してしまうから、俺は夕日が、太陽が、嫌いだ。なあ、お前はどうして笑ってしまうの？俺がお前くらい強かったら、俺もお前くらい上手に笑えるかなあ。

後ろでまた、あいつらが叫ぶ。頭がぐわんぐわんした。恥ずかしい話、考えすぎて頭が痛かったんだ。だからあいつらが何をいったのかさえ分からなかったけど、さっきのさっきまで隣にいたはずのAは、ランドセルだけを残して姿を消していた。

「は？」

後ろで騒がしい声がする。Aがあいつらに喧嘩売ったって理解するのに時間はかからなかった。俺は焦った。世界が終わるって聞いた日の朝くらい。走るのが遅い俺にとってその距離は遠かった。でもとにかくAをこいつらから引き剥がすのが先だと思ったんだ。