【ヒロアカ】To my dearest. Ⅳ (ページ45)

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私の手を雑に引いて、少し早足で校門まで歩いていく。背は私と同じくらい、少し傷のあるランドセルは茶色。

私はその日から、少しだけそのアンティークブロンズが好きになった。

『ま、まって、いたい…よ…』

『ね、ねえ！』

『ねえってば！！！！』

「うわっ！」

帰路の途中、私はやけに早足で歩く彼の腕を思いきり引いた。私よりも明らかに体力のないであろう彼は頬を赤らめ、息を上がらせて、一言。「なに」と。

『な、なに？じゃあないのだわ！！痛いって言ってるのに離してくれないし、聞こえてないし、速いし！なのに息切れてるし、あなた、あなたって……変な人ね！』

「はあ？！俺が変な人？！なんだよせっかく連れ出してやったってのに！ジョシはタイヘンなんだろ？！！」

『あ、う！それはそう！…………助けてくれてありがとう！』

私は思わず笑ってしまった。助けてくれたんだろうなあって思ったのに、当の本人はそんなこと思ってなさそうだったから。無計画で私のこと連れ出したらなんとかなるって思ったんだって考えたら、そんなの、そんなのとっても滑稽！

「…………しかたね～からいいよ！て言うか普段のお前話し方それなの？なんか学校とキャラ違うな！」

『な、なによ…………気を遣ってるのだわ、タカビシャなんだわ、よくわからないけど。わたし顔もキツイから、よくないって言われたの』

「誰に」

『オトナよ』

「いーじゃんべつに、お前が話したいようにしろよ、お前の勝手だろ？」

『…うんっ！』

それから私たちは何十回分の十五分間の道のりで、いろんなことを話したのだ。剣道をしている理由でお師匠に預けられたこととか、今日の給食の話とか、宿題の話とか、誰が誰のことが好きだとか、将来の夢だとか。

なんでも知ってるなあって思った。みんなより大人なのに、みんなと一緒に遊んでたり、優しくしてくれたり、オトナじゃないから、私はすぐに彼のことを好ましく思うようになった。そうなるのに、時間はかからなかった。