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『まあと言うわけでトレーニングに行きます』
瀬「脈絡ねえなあ」
『なーんか敵の動きも活発になってきてるらしいし、ロードワーク禁止されたのよね…………その代わりトレーニングルーム開けてくれるって』
切「俺も行くぜ〜」
インターンの一件から仲良くなった私たち、実は結構いっしょに訓練してるんだよね。この間の実践授業ではイマイチ体術光らなかったけど、切島くんは私のしごきによって強くなってます。頑張ったからね。
「そういや金烏、最近素振りしねえのな」
結局誰も来なかった。でも今日はクリパ！早目に切り上げて早目に帰るよ！
トレーニングルームに向かう途中、私と切島くんは他愛のない話をしていた。
『まあね〜………でもやっぱりそわそわしちゃう、日課なくなったし、それに……』
「それに？」
『ああ、いや！でもやっぱり、拳より剣の方がリーチ長くて強いのよね〜…』
「そりゃそーだわな！金烏もずっと使ってた剣の方が、戦いやすいんじゃねーの？」
『ん〜、まあね。でもなんだか、怖いの』
「怖い？」
『うん、なにか大切なものを忘れているのを、思い出しそうって言うか……きっとそれ自体は悪いことではなくて、でも思い出しそうな記憶が、なにか途方もなく、恐ろしいことのような気がして…………』
「うーん…？つまり剣握るのが怖いってことだよな？」
『そ、うね』
「ならおかしくね？剣こそ、金烏が今まで一番信じてきたものなんじゃねーの？なのに怖がるってのは、」
『うーん………私にもわからないんだけどね、まあそのうちまた握らないとね。先生……うちの道場の師範にも厳しく言われてるし！』
「おう！打ち込みなら付き合うぜ！」
『あはは！ならまたお願いしようかしら！』
強い北風が二人の隙間を通り抜ける。冬の夜は長い。
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作者名：冬谷 | 作成日時：2020年6月29日 21時
