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「その責任を果たしなさい、私たちから彼の心を奪ったことの罪を、その重さを、この怨嗟の声を、忘れてはなりません。一生背負って生きていきなさい。私はあなたを許しません、私が死んでも、あなたが死ぬまで、この世界が、終わるまで。けれども、尚彼を愛すだなんて、本当に身の程も知らない小娘。我儘、強欲、その愛のほとんどが醜い執着。
憎いひと、醜いひとよ、それでも彼が真に愛したひとよ、私が言えることでないのですが……どうして涙を堪えるのです、いいんですよ、こんな時くらいお泣きになれば。だってあなたは正しかったじゃないですか。私たちには難しすぎるくらいに、ただまっすぐに、ひたすらに。」
「…………それでも、あなたはきっと目覚めてしまうのでしょう。それでも、彼をこの先ずっと愛していくのでしょう、愛されていくのでしょう。」
「愛か、それ以外か。どちらにいるのが、後の全てを上手く丸められるのか。………わかります、誰でも。あなたが此方に来ていれば、きっと酷いことになる。全滅、愛おしい人の二度目の死。だからこそ、あなたは後者を取った、剪定した。」
「ええ、あなたが認めないなら私が言いましょう。それは紛れもない《愛》でした。炎渦のさなか、傷付きながら、それでも愛したいと思ったからこその矛盾。」
黒霧は言い澱んだ。わたしも、生唾を飲んでしまう。
「認めません、絶対に。認めたくないのです、許したくないのです。けれど…………分かって、います」
「だから、これは一度しか言いません」
「金烏A。彼を、頼みます」
息を呑んだ。ああ、なんて、なんて。
『…いいのだわ、こんなこと、もう止めてやるんだから！』
「…良い笑顔ですね。やはりあなたは笑顔でなくては。憎いほど陽光に似たその顔で笑ってしまうひと。
そうまで仰るならやってごらんなさい、やって退けてみろ！ふふ、あはは…………はは！ああ、素晴らしい、あなたは眩しすぎる！いいですよ、応援して差し上げても。
止めてみせなさい、愛しているのなら。その愛の剣で、彼の心臓を貫いてでも、その愛の鎖で彼の頸を絞めてでも。あなたのその愛はエゴですよ、分かっていますね。」
『………そんなの、とっくに、分かっているのだわ』
「………いじらしいひと、永遠にさようなら、またとお目にかかることはないことを祈っています。」
がたん！と激しく揺れて、すぐに真っ暗になる。瞬きの間に明るくなって、私は目を細める。
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作者名：冬谷 | 作成日時：2020年6月29日 21時
