8話 ページ8
カウンターから見えるコック。時々怒ってまた笑って
見てて飽きない奴らだな。
だが、待っててくれと言った本人、サッチが見当たらない。
『いつまで待てば……』
チラチラとクルーの視線が背中を刺して痛い。
「お！シドお疲れさん!!」
「お疲れシド‼!」
シ………ド………？い、いやまさか、幻聴か同じ名前の男が居るんだろう。
後ろから聞こえてくるクルーの会話がたまたま聞こえてきた。
どこか寂しそうな顔をしているAを見たクルーの一人が、ハハと笑った。
シド‥‥…生まれ変わりだとか、ねぇかな…。
「ようヘイラ―、お前またエース隊長と逃げてたのかよ!!」
「うっせ！今回俺は悪くねぇよ……」
ヘイラー……そう、自分の兄の名はヘイラー・シド。あの日自分に力があれば
こんな事、ならなかったのに…
＿＿＿＿ッ?!ヘイラ―・シド?!
バンッ‼ガタタッ！
カウンターを思い切り叩いて立ち上がり、椅子が倒れた
完全に今、食堂の中のクルーの目は自分一人に向けられた
シン……ッと静まり返る食堂。
見つけた。振り返って視界いっぱいに広がる静まり返った食堂とこちらを見るクルー
『……ッ！！！』
その中に、濃いブラウンの髪で、真っ黒な瞳の……兄と思われる人物。
一歩………一歩と自分の体は勝手に前へ、彼のもとに進んだ。
包帯だらけの自分は気づいてもらえるだろうか。
距離が短くなっていくにつれ、混乱が頭を埋め尽くし、鼻の奥がツンとした
距離が1メートルも無くなると、勝手に自身の体は歩くことを止め
口が動いた
『ヘイ…ラー…・・・・シド？』
彼は「ん？」とコテンと頭を傾げたが、ああ！と納得したかのようにしゃべる。
「俺はヘイラー・シドだ！君が生き残りか？
マッド海賊団を全滅させたってい……う」
脳裏によみがえる島での記憶が、彼のその笑顔と自分の兄の笑顔を重ねた。
気づけばそっと彼の頬に手を滑らし、親指で目元の傷を撫でていた。
自分の兄はここに崖から落ちた時の傷がある……一緒だ。
「お、おい……大丈夫か君…」
目の奥がジン……と熱くなり、もう瞼にとどまることを止めた涙がとうとう
流れ出してしまった。
もう止めてくれと思う心とは裏腹に、体は兄を求める。
そして力強く抱きしめた。
兄だ。シドだ。お兄ちゃんだ。生きて、いたんだ。
『ッ……い、きてた……お兄ちゃん…!』
止まらない熱い涙が、兄の服にシミを作った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
錦戸。(プロフ) - 蜜柑さん» 有難う御座います。白ひげ海賊団いいですよね^^ (2018年4月10日 17時) (
レス) id: 203568ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 錦戸。さん» 白ひげ海賊団大好きなので続き楽しみにしています (2018年4月9日 3時) (レス) id: 77722fac74 (このIDを非表示/違反報告)
錦戸。(プロフ) - 黒猫の涙さん» 有難う御座います、そう言って戴けて嬉しいです。更新頑張りますｂｂ (2018年4月4日 5時) (レス) id: 203568ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫の涙 - 面白い！！続き読みたいです！楽しみにしてます。更新頑張って下さいo(*⌒―⌒*)o (2018年4月3日 23時) (レス) id: 857950a1df (このIDを非表示/違反報告)
錦戸。(プロフ) - わお、60位……ちょっともう怖くなってきてます。有難う御座います。 (2018年4月3日 22時) (レス) id: 203568ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：錦戸。 | 作成日時：2018年3月31日 19時
