29話 ページ29
「……おい！…おい!!シド！！！！」
「…ぁあ？」
「なに呑気に寝てんだ！おめーの妹のAが風呂で気絶したんだってよ！」
「っんだと？！すぐ行く！！」
＿＿＿後頭部を強打……。病室に駆け込み、すぐに船医から話を聞いた。目の前の妹の頭には、ぐるぐると真っ白な包帯がついている。
「また、傷つくりやがって。」
この前、ふろ上がりのAの髪を乾かしていたとき見えた、Aの背中。
深い切り傷や銃痕がのこっていて、胸が苦しくなった。
傷跡は一生モンだ。もう一つもつくってほしくねえのに……。
そう思いながら、瞼を閉じ切っているAの顔にかかる前髪を除けてやる。
んん。とうなったAは寝返りを打ちこちらを向いた。
離してやりたくない。二度と辛い思いなんてさせねえ。
その気持ちを、Aの髪にキスを落として
目の前のパイプ椅子に腰かけた俺は、Aが目覚めるのを待った。
Aはいつ、目を覚ますのだろうか。
椅子の背もたれに顎を置きながら
Aを眺め続けた。心配で、心配で…気づいたら眠っていたらしく
自分の大きなくしゃみで、目を覚ました。
「……A、起きたか？……」
まだ寝ぼけてうつろうつろなまま、目を擦って問いかける。
返事は帰ってこず、まだ眠っているのだろうと、もうひと眠りしようとした。
肌寒い夜だった。鳥肌が立ち、身震いしそうになるような夜。
船は冬島に羅針盤の先を向けてまっすぐ進んで
俺は明日、気候も安定してきた頃にAと分厚い羽織りをきて
兄妹初の雪遊びをする。
そしてこれから俺は、この12年の空白を埋めていく。
ぼんやりとした気持ちのいい中で
シーツがすれる音がして、とん、とん、と
足音のような小さい音が近づいてきた。
船医のおっさんか…？
その誰かは、俺に近づいて、しばらくすると遠ざかって行った。
ぼんやりした中で突如肩が重くなり、体が暖かくなった俺は
まあ、いいか
と気にせず、深い眠りに落ちていった。
明日Aが目覚める前に、起きねえと……な。
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錦戸。(プロフ) - 蜜柑さん» 有難う御座います。白ひげ海賊団いいですよね^^ (2018年4月10日 17時) (
レス) id: 203568ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 錦戸。さん» 白ひげ海賊団大好きなので続き楽しみにしています (2018年4月9日 3時) (レス) id: 77722fac74 (このIDを非表示/違反報告)
錦戸。(プロフ) - 黒猫の涙さん» 有難う御座います、そう言って戴けて嬉しいです。更新頑張りますｂｂ (2018年4月4日 5時) (レス) id: 203568ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫の涙 - 面白い！！続き読みたいです！楽しみにしてます。更新頑張って下さいo(*⌒―⌒*)o (2018年4月3日 23時) (レス) id: 857950a1df (このIDを非表示/違反報告)
錦戸。(プロフ) - わお、60位……ちょっともう怖くなってきてます。有難う御座います。 (2018年4月3日 22時) (レス) id: 203568ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錦戸。 | 作成日時：2018年3月31日 19時
