14.不意打ち ページ14
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化学室に辿り着くと、テーブルの上に腰掛けて窓の外を眺める二宮先生の綺麗な横顔が飛び込んで来た。
やっと会えた。準備室じゃなくてこっちにいるなんて珍しい!なんて考えながら私は声をかけようとした。
瞬間、夕陽の光に反射して先生の頰で何かがキラリと光り、声をかけるのを躊躇ってしまった。
もしかして、あれって。
「二宮先生!!!」
考える前に体が動いてて、気づけば私は先生の背中にギュッと抱きついていた。
「…誰」
「分かってるくせに!Aです」
「Aさん…何してんの?離してくれない?」
「嫌です!」
はあ、と小さな溜め息が聞こえて来たけど構わず先生を抱きしめ続ける。
「今、泣いてましたよね?」
「は?何で俺がこんなとこで泣くのよ」
「嘘つかないでください」
「嘘じゃねーよ」
なんて言いつつも、先生はこっちを見ようとしない。
絶対そうだ。見間違いなんかじゃない。さっき夕日に反射して光ったのは、涙だ。
二宮先生は今、この教室で1人で泣いてたんだ。
いつもサラッとしてる二宮先生が。何で?
「泣いてた理由、教えてくれないと離しませんよ」
「あのさ、俺の話聞いてた?泣いてないから」
「私は見たんです!理由を話してください!!」
「しつこいなあ、」
二宮先生は私の腕の中を強い力で無理矢理すり抜けて、こっちを振り向いた。
グイッと手で顎を持ち上げられて反射的に上を向くと、唇に生温かいものが触れる。
「……やっと静かになった」
ボソッと呟いて、私から手を離した。
「俺が泣いてた、とか誰かに言いふらしたりすんのやめてね。デマだし」
そう言って二宮先生は、静かに教室を出て行った。
何が起こったの?
二宮先生。今、私にキス、した?
唇には、確かに柔らかい感触が残っていた。
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れもん♪(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!!2019年は本当に色々…ありましたね。今は完全では無いですが復活…。やっぱりニノちゃんのこと、大好きなんですよね。嫌いになれないです。休止まで精一杯応援しましょうね!これからも頑張ってください! (2020年2月24日 20時) (レス) id: 94ce30e2f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:燐 | 作成日時:2019年8月18日 0時