【文スト】salvation of a saint Ⅲ (ページ35)

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Addict ページ35

「「電網潜り？」」

Aと敦は国木田と共に街を歩いていた

「凄腕の情報屋だ今日は其奴にこいつを調べさせる」

そう云い国木田が出したのは白鯨の制御端末であった

端末には裏に遠隔干渉チップが貼られていた

「こいつが土壇場で白鯨の制御を奪い白鯨を横浜に激突させようとしたのだ」

「鼠…？」

「これを仕掛けた奴は組合すら利用し横浜壊滅を目論んだ訳だだが手掛かりはこの印のみまた別の大物を落とされる前に闇から引摺り出さねばならん」

「でも電網潜りなんて……信用出来るんですか？」

「国木田さんが信用するなんて意外です…」

「あぁ奴とは一応十年来の付き合いだし」

ー何より奴は元探偵社員だからなー

「花袋！俺だ這入るぞ！」

国木田は凄い剣幕で扉を開けた

怒りながらずんずんと進む国木田

敦とAは慌てて後を追う

「引籠り！」

国木田はそう叫び最後の扉を開けた

「うう…国木田よ」

部屋からは呻き声が聞こえた

「儂はもう駄目じゃあ儂は一生この昏き蒲団の裡で生きて死ぬ」

田山花袋ー能力名『蒲団』

「(蒲団…？)」

「はぁ……またか今度は何だ？」

「蒲団の外は地獄じゃあ美しきものは空の上楽しがなるは海の底儂に能うるは世を羨みながら蒲団の壁蝨を養う事のみ！」

叫ぶ田山を無視して洗い物をする国木田と手伝うA

「く……国木田さんこの人が……本当に？」

敦は困惑した笑みを浮かべる

「あぁ花袋の異能は視界内にある電子機器を触れずに操る処理速度は常人の数十倍」

「数十倍って……これ全部を？」

驚く敦

「軍の電脳戦部隊に匹敵する能力だ尤も一番心安らぐ場所でなくては集中出来んらしく異能が発動するのはこの蒲団の中のみだが」

「ううう」

「凄いのか凄くないのか…」

「それも今は昔心乱れ異能も使えぬ儂は今や部屋で一番でかい生塵に過ぎぬ」

「(悲観的…)」

「何？異能が使えんだと！？何故だ？」

「それが……」

「「「恋煩いぃ？」」」

「あれは三日前蒲団の打ち直しに呉服屋は行った帰りじゃった儂は衝撃の出逢いをしたのじゃあ……かの『黒髪の撫子』と」

「『黒髪の撫子』？」

「野百合の如く嫋やかな立ち姿夢幻と見紛うその儚き気配五百米先からでも心奪われた」

「遠いな」

「儂はその艶姿に瞑眩しどうにか写真を撮るだけで精一杯で」

「犯罪では……？」

「軽蔑しますね……」

三人にバッサリ切られた田山は泣くしかなかった