スイートピーの花束 ページ30
騒動を終え Aは太宰と墓地へ来ていた
「太宰さんが絡んでるなんて思いませんでした」
太宰を睨みながら云うA
澄まし顔で笑う太宰
「それにしても以前までのあの服はどうしたんだい？」
「捨てました」
Aは真っ直ぐ前を見つめていた
「…良かったのかい？あの服は君にとって意味のある物だったんじゃないかい？」
「太宰さんは何でもお見通しなんですね」
クスッと笑うA
「あれは私にとって喪服と一緒でした」
あの子たちが死に
彼が死に
私の心が死に
私の居場所が死に
私の夢が死にました
ただの生ける屍となりました
何度も何度も死のうと思いました
何度も何度も殺そうと思いました
"生きろ"なんて薄情だと思いました
貴方達が居ない世界でどうやって生きろって云うの
如何して私を独りにしたの
如何して私を連れて逝ってくれなかったの
「どんなに想っても返事は返ってきませんでした そしたら先日来たんですよ」
「来た？」
「はい 笑ってたんです」
"お姉ちゃん！ぎゅ〜ってしてもらったんでしょ？"
"A姉 子供みたい"
"泣かないでよ 姉ちゃん"
"A姉ちゃんには笑って欲しいな"
"ダッセーな！A！俺らがいなくても笑えよ！"
"咲楽…克巳…優…真嗣…幸介…"
"悪いなA 俺が話した"
"作之助さん…"
"お前が子供みたいだったと云ったら皆からかいにきたみたいだぞ"
"もう…何で云っちゃうんですか…"
ただただ涙が止まらなかった
"また泣いてる！Aずっと泣いてばっかだな！"
"幸介だって本当は泣き虫な癖に…"
"んなことねーよ！"
"私達 お姉ちゃんが大好きだよ だから"
ー笑って そして生きてねー
"お前にはもう新しい居場所があるんだ でも俺達はお前の側にいる だから安心して進め A"
「皆笑っていたから 生きてって云ったから だから私は前に進もうと決めました もう泣かないように 今日はその報告に来たんです」
Aの手にはスイートピーの花束が抱えられていた
「綺麗だね」
太宰は優しく微笑んだ
Aは花束を添え 手を合わせた
太宰は優しく見守っていた
Aと太宰は墓地を後にした
すると敦と鏡花が駆けて来た
「Aちゃん！太宰さん！新しい事件です！」
「太宰さん行きましょう」
Aは二人と共に駆けて行った
「スイートピーの花言葉は"門出"か」
太宰はポツリと呟く
「任せなよ 織田作」
太宰は空を見上げ微笑んだ
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作者名：aurora | 作成日時：2020年1月20日 0時
