異能力者の正体 ページ17
「ある異能力者が行方不明となっているそうでね その異能力者の名は"湯川学"というらしい しかも行方不明となったのは8年前 偶然にしては出来過ぎだ」
「という事はその"湯川"って奴がポートマフィアに潜伏 そして今回Aを拐ったって訳か 胸糞悪いぜ」
「じゃあ その湯川って人を見つければ事件は解決なんですね！」
敦が嬉しそうに云った
「愚者め その程度の話であったら態々会議を開く迄も無い」
芥川の云い方にムッとする敦
「云い方は兎も角 芥川君の意見が正しいよ 今回は奴を捕まえるだけでは無い 奴の目的を明らかにしないと拙いんだ」
「如何いう意味だ 太宰」
国木田が太宰に尋ねる
「奴が一人で何かを企んでいるのなら態々Aちゃんを拐う必要性が無いんだ 逆に云えば 奴の計画にはAちゃんの存在が必要不可欠となる しかもその計画は8年前から始まっていて現在になって動き始めている」
「成る程な 奴の計画が実行までに準備を終えたんだ となると実行に移るまでの時間はない」
乱歩は真剣な表情を浮かべる
「ここで今回の作戦の鍵となるのは矢張りAちゃんの救出となる そしてなるべく多くの情報を集め 乱歩さんに報告する事だ 今回は私怨抜きで協力する事が重要となるからね」
ーさあ 作戦開始だー
全員は太宰の指示を聞き 早急に動き始めた
「(必ず助けるからねAちゃん)」
「(待ってろよA)」
監 禁 施 設
ここに来てから何日経っただろう
最近 どこかの場所を求めていた筈なのに思い出せなくなっている
それに 私誰かに呼ばれていた気がしたのにその声が思い出せない
ワタシッテダレダッケ……？
「やあAちゃん お目覚めかい？」
「……真柴さん 何しに来たんですか」
Aは精一杯の警戒をする
だが 頭がぼーっとする為に力が入らない
「"君は見たんだ 君が私を受け入れる姿を 何もかも忘れていく姿を"」
「何の……話……」
また目蓋が重い……
嫌だ 嫌だ 嫌だ
心では拒絶をしているのに体が追いつかない
助けて お願い
目の前で手が伸ばされた気がした
掴みたいのに掴めない
"A"
顔がハッキリと見えなかった
貴方は誰ー？
Aの意識はぷつりと途絶えた
ただその表情には悲しみが浮かび 一筋の涙が流れていた
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作者名：aurora | 作成日時：2020年1月20日 0時
