【文スト】salvation of a saint Ⅲ (ページ11)

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混乱と噂ページ11

依頼主が帰った後探偵社は混乱に満ちていた

「Aに婚約者だと！？」

「そんなの聞いた事がありませんでしたわ！」

国木田とナオミが叫ぶ

「これは話を聞かなきゃならないねェ」

「僕婚約者なんて初めて見ました！」

瞳を輝かせる与謝野と賢治

「太宰さんよく依頼主に絡みませんでしたね…」

谷崎が呟いた

確かに最も喚きそうな人物は静かであった

というか探偵社にいなかったのである

「敦太宰は如何した」

「えっと…」

国木田の質問に敦は口籠る

「太宰なら依頼主とすれ違いに出て行ったよ」

乱歩は駄菓子を食べながら云う

「あの唐変木！Aがいないとすぐこうなる！乱歩さんも教えてください…」

「だってそれ名探偵の仕事じゃないでしょ」

放浪癖のある同僚自由奔放な上司秘密主義な後輩

国木田の胃はストレスで穴が開きそうであった

「とにかく明日 Aに事情を聞かねばならないな」

全員の心はAへの質問で溢れかえっていた

墓地

「私を探していた…？」

「はい彼が最期まで気にしていた貴方の事が気になって少し調べさせていただきました」

「…成る程だから君は私の正体を知っていたのか」

太宰はAとの会話を思い出す

"さすがは太宰さんいえ… 元ポートマフィア幹部太宰治さん"

"…何故君がそれを？"

"…ずっとずっと貴方を探していました "彼の人"から貴方の事を聞いていましたから貴方の事をとても心配していましたですが"

フッと笑う太宰

「完敗だね」

「本来であれば私の目的は達成元々貴方を見つけたら横浜を離れる予定でしたでも…」

貴方が私を導いてくれた

「君の正体は判っただが一つ疑問がある」

「…はい」

「君が逃れた"真柴家"とその"真柴義之"は一体如何なったんだい？」

Aが緊張したのを太宰は見逃さなかった

「何かあるんだね」

確信を込める太宰

「…最近こんな噂を聞きました『 "真柴家"は没落原因はある異能力者によるのではないか』と」

「それだけじゃあないだろう？」

「……」

Aは答えない

「君を探しているんだね？」

Aは俯く

「無言は肯定とみなすよ如何して相談しなかったんだい？」

「…だって私の所為で皆さんを巻き込みたくなかったから」

「君も探偵社の一員なんだもう少し周りを頼ってもいいんだよ」

太宰はAの頭を撫でた

それに知らない君を知ってる奴がいるのは

「面白くない」

太宰の瞳から光が消えた

「忙しくなりそうだ」