【文スト】salvation of a saint Ⅱ (ページ19)

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友達ページ19

「80、90、91……92、93 94……」

「たとえ地の果ての国でも田舎は心安まるね」

ジョンとラヴクラフトはナオミと春野のいるロッジの近くまで来ていた

「……何してるの？」

「木目を数えている……この国は木造建築が多い」

「それ印刷だよ」

ラヴクラフトの顔には衝撃の二文字が浮かび上がる

「さてマフィアからの贈品はこの先かな？」

「明らかに我々を誘い出すための罠だ……何故行く？」

「『君達の能力なら罠ごと粉砕できるだろう？』だってさ」

ジョンはロッジを指す

「それに今回は『餌』が魅力的だ誘拐でもすれば探偵社には勝ったも同然だよ」

晩香堂

「事務員を『餌』にしただと！？」

福沢が声を荒げる

「直ぐ避難すりゃ間に合うその上組合はお宅等が動く事を知らねえ楽勝だ」

「……ッ」

福沢の持つ万年筆が折れる

Aは目の前が暗くなった

「……乱歩奴の言葉に嘘は有るか」

「無いね残念乍ら」

乱歩が断言する

「こう云う時は真実がいちばん効く」

「つまりアンタらは事務員の居場所を探り出して組合に密告しさらにそれを探偵社に密告自分達は汗ひとつかかずに二つの敵を穴に落としたって訳かい」

中原がニヤリと嗤う

「穴だと判っていても探偵社は落ちずにいられねえ首領の言葉だ」

「……至急事務員に避難指示をそれから国木田に繋げ」

「間に合うのは我々だけですか？……はい至急向かいます」

車の外で国木田が通話をする

「社長からですか？」

車には谷崎が同乗していた

「内容は？」

車を発進させる国木田

「組合と激突する」

「ナオミ…」

Aの頭にはナオミの笑顔が浮かんでいた

「私ナオミの処へ行きます」

乱歩と福沢が驚く

「今外へ出るのは危険だ」

乱歩が鋭い目で見る

「判っています」

もう護られるばかりじゃいられない

Aの瞳には迷いが無かった

「私には何も救えないかもしれないでも私も探偵社員です護られるだけはもう終わりにしたいんです」

「……」

乱歩がAを見て

「止めても無駄だろうから」

溜息を吐く

「帰って来たら太宰に説教されるぞ」

「覚悟の上です」

「社長お願いします」

Aが頭を下げる

「…危険だと感じたらすぐに撤退しろ国木田達には私から連絡しておこう」

「ありがとうございます！」

Aはそう云い走り去っていった

「待ってて…！ナオミ…！」

貴女は私を救ってくれた今度は私が救ってみせる

貴女は私の初めての"友達"だから