勘違いしちゃったその子 ページ6
どさ。
そう重そうな音を立てて、買い物袋が俺の手から滑り落ちた。
「…レウ君……?」
Aが心配そうにこっちを見ている。
その目は確かに俺だけを見ていて、シャオちゃん、とやらなんてそっちのけで俺の事を心配してくれているんだと思った。
…勝手に動揺して、馬鹿みたいだな、俺。
そんなぽっと出のやつが、俺に勝てるわけが無いのに。
「…くふ、ふふふ、」
不思議と笑いがこぼれる。
ああ、そうだ。そうだった。少しイレギュラーが出てきただけ。なんなら、Aを好きになる可能性だって低い。
…好きにならないやつは見る目がないと思うけど。本当に。
「わ、急に笑い始めた…ほんとにどうしたの」
「…ううん、ごめんね?ちょっと嬉しくなって、力抜けちゃった」
そう微笑みかけると、何もないなら良かったと胸を撫で下ろすA。
可愛い。食べちゃいたい。
……風邪ひいたら、付きっきりで一日看病してくれるかな。なんて思ったのは俺だけの秘密。
袋を持ち直し、卵が割れていないことを確認する。
「ほら、歩こ…何が嬉しかったの?」
「んふふ、Aに"友達"が出来た事だよ」
「…きょーさんとは合わせてくれないのに?」
「それとは別なの」
______
Aside
「じゃ、またね。久しぶりに帰れて嬉しかったよ」
家に着き、レウ君から買い物袋を受け取る。
ちなみに落としてしまったけど卵は割れていなかった。強いね。
「うん、ありがとう…また一緒に帰ってもいい?」
ダメ元で聞いてみる。
するとレウ君は嬉しそうに勿論、帰れる時は声かけるね。と言ってくれた。
手を振って、姿が見えなくなるまで見送る。
今日のレウ君は沢山笑ってたな、久しぶりに会えてよかった、なんて思いながら家の鍵を開ける。
「…あい、てる?」
冷や汗が背中にたれた。
慎重にノブに手をかける。。何かあってもいいように、折り畳み傘が入っているカバンに手を添えながら。
開いた隙間から、顔を覗かせる。
え、もし誰かいたらどうしよう。スマホ、充電残ってたっけ?レウ君、走ったらまだ追いつくかな。
…ええい、どうにでもなれ!!
がちゃんっとドアを開ける。
そこに居たのは、兄さんだった。
「に、いさんかぁ……」
「遅い」
腰が抜けて、その場にへたり混んでしまったのは、私と兄さんだけの秘密。
しんぺーさんにばれたら、私も兄さんも怒られちゃうからね。
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ハク - 軍パロとか見てみたい、、煮干し受け取ってくれたら嬉しいです、、、 (5月3日 7時) (レス) @page40 id: b87c231ef8 (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ポキ男さん» これからはniさんの受難が増えていきます…笑 コメントありがとうございます! (5月1日 21時) (レス) @page40 id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
ポキ男 - niさんの「ああ、、、アーメン、、」がすごい好き、、、 (2023年4月18日 4時) (レス) @page19 id: 9d80ea5bad (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ななさん» !!???!!ごめんなさい今気づきました…!!2つ試作していたのが片方非公開になってなかったみたいです。すみません、御指摘ありがとうございます! (2023年4月16日 10時) (レス) id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ユキさん» わ〜!嬉しいです!更新が遅いですが、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます! (2023年4月16日 10時) (レス) id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:社 | 作成日時:2022年9月4日 15時