渦中のあの子達 ページ18
Aside
「いやぁ〜……いいっすね……」
「ほんとうに………」
お昼ご飯も食べ終わって、今は日向ぼっこ中。
屋根の上だから汚い、とかはあんまり気にしていない。苔の感触が気持ちいいな、なんて。
春のぽかぽかの日射しに、爽やかな風は、お腹の膨れた私たちの眠気を誘うには十分すぎる材料だった。
「あのさ」
閉じようとしていた瞼は、猿山くんに声をかけられた事で1度覚醒する。
「どーしたの」
ちら、と横で隣で寝転がる彼を見れば、ここに来た最初の時みたいに少し顔を赤くして、こっちを見ていた。
「…風見さん、猿山くんって長いし、堅苦しくない?って思って」
「……んえ、今更ぁ〜?」
あまりにも突拍子の無い話題に、私はびっくりして目をぱちくりさせながら答えた。
確かに、友達なのに苗字呼びは、何だか壁を感じるなぁ。
「じゃあ……らだおくん?」
そう呼んでみせれば、彼も私みたいに目をぱちくりさせた後、少し考える素振りを見せて口を開いた。
「んー………友達からはらっだぁって呼ばれてる。あ、でも好きに呼んでよ、……A」
「ふふ、じゃあらっだぁくんで。」
この会話が何だかおかしくて、2人で顔を見合せたあと示し合わせたように笑った。
キーンコーンカーンコーン…
予鈴が鳴って、私達は寝転がっていた体を起こし、服の皺や土埃を払いながら屋根から降りる準備をした。
「…次の時間なんだっけ」
「んーと…古文?」
「あ゛ー……寝そう」
「その時はカモフラージュしてあげるよ」
「まぁ〜じありがたい」
この屋根には、隣に置いてあるコンテナから跳び移る様にして行ったから、帰りは逆の手順で帰ればいいだけ。
…大分アクロバティックなことしたなぁ、私達。
先にコンテナの上に跳んだらっだぁくんは、こっちに手を差し伸べてくれる。
ご厚意に甘えてその手を握り、屋根の縁を蹴ってコンテナ側に跳び移る。
「ありがとう」
「これくらい全然。ていうか、ちょっとワクワクした、こういうの」
「分かる、子供心くすぐられるね」
らっだぁくん、1回仲良くなったら沢山お話できるんだ。今朝よりも声が明るいなぁ、なんて思いながら周りに誰もいないことを確認する。
入口側ならまだしも、校舎の裏側なんて好き好んで寄る人はいなかったみたいで。
確認をしたあと、アニメの如くコンテナから飛び降り、私達は昇降口へと走った。
__
台風、大丈夫でしょうか。
皆様どうかご自愛下さい。
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ハク - 軍パロとか見てみたい、、煮干し受け取ってくれたら嬉しいです、、、 (5月3日 7時) (レス) @page40 id: b87c231ef8 (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ポキ男さん» これからはniさんの受難が増えていきます…笑 コメントありがとうございます! (5月1日 21時) (レス) @page40 id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
ポキ男 - niさんの「ああ、、、アーメン、、」がすごい好き、、、 (2023年4月18日 4時) (レス) @page19 id: 9d80ea5bad (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ななさん» !!???!!ごめんなさい今気づきました…!!2つ試作していたのが片方非公開になってなかったみたいです。すみません、御指摘ありがとうございます! (2023年4月16日 10時) (レス) id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
社(プロフ) - ユキさん» わ〜!嬉しいです!更新が遅いですが、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます! (2023年4月16日 10時) (レス) id: 573037bf60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:社 | 作成日時:2022年9月4日 15時