電話 ページ8
「そういえば、親御さんに連絡入れたか？」
「…まあ」
ふいと目をそらす
携帯電話の着信履歴とラビチャの通知の量を思い出し、心なしか体温が下がった気がする
「入れてないのか」
「怒るの怖い」
「心配してるだろ？」
ほら、とサイドテーブルから携帯電話を渡される
受け取った瞬間、ヴーッとバイブレーターが空気を震わせる
表情筋が固まった
「丁度いいな」
出ていいぞ、と悪気ないおかーさんの言葉に、為すすべなく携帯電話を耳に当てた
『もしもし』
「…もしもし」
『…A？』
「そう」
『今どこ、何してるの』
「…ごめん」
『はぁ…また？』
「そう、いつもの」
『すぐに帰ってこれば良かったのに』
「アレ来たんだけど、立てなくて、そのまま寝ようと思ったんだけど…」
『風邪引くでしょ』
「引いた」
『あぁ…病院？』
「ううん、拾われた」
『は？』
電話越しに、呆れた声が聞こえた
「起きたら、知らない場所で寝てた」
『…それで？』
「すぐ拾い主が来て、色々面倒見てくれた」
『…帰る準備してて、迎えに行く』
「仕事は」
『今日は終わった』
「わかった。あ…コートない」
『また？』
「うん」
『…わかった』
「…あの…」
『何？』
「…薬、飲んでません」
『は？』
今日一番の“は？”頂いた
「拾い主の人が風邪薬くれて、それで」
『飲んだの？』
「…はい…」
『…仕方ない。車出してもらうから』
「…ごめん…」
『帰ったら、わかってるよね？』
「…はい」
『それじゃ』
淡々と続いた会話が終わった
携帯電話から耳を話し、大きく息を吐いた
帰りが怖い
「何て？」
「今から迎えに来るって」
「そうか、急だな」
電話の内容をあまり聞いていなかったのか、特に何も聞いて来ない
それはそれで良しとしよう
布団から出て、帰る支度をする
「大丈夫か？」
「へーき。着替える」
「ほら」
おかーさんが、サイドテーブルから服を渡してくれる
「終わったら呼べよ？」
おかーさんとおにーさんは部屋の外へ出て行った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 307人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきな(プロフ) - とっても面白かったです！続きがとても気になります (2019年12月28日 3時) (
レス) id: 0b67114e74 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜架(プロフ) - Sora君さん» コメントありがとうございます！ずっとお話を溜めていたので、コメントが励みになります。これからもよろしくお願いいたします！ (2017年3月19日 21時) (レス) id: 3417dbbffc (このIDを非表示/違反報告)
Sora君(プロフ) - お話すごく面白いです!!更新がんばってください!! (2017年3月19日 20時) (レス) id: 4ea93103b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：碧 | 作成日時：2017年3月18日 13時
