一緒にいたい【赤井秀一】

19. reason ページ24

.

「組織を壊滅するまでは、日本(ここ)に残るつもりだ」

「ねえ、赤井はなぜFBIになったの？」

今まで聞いたことのない質問をするA。


「……父は死んだと母さんから聞かされた。その真相を探るために、勉強したいからと母さんに言ってアメリカに留学してた」

「そうなの？」

「ああ、だが分からずじまい。諦めきれない俺はFBIに入り、詳しく調べようと思ってた」

赤井は父のメールの内容をAに話す。

【いいか、この先私はいないものと思え…
どうやら私はとんでもない奴らを敵に回してしまったようだ…】

(とんでもない奴ら…)

「FBIになることを母さんに反対されてやりあった結果があの写真のアザだよ。父の遺体が見つかってないということが、どうも引っかかってな」

「え？見つかってないの？」

「見つかってない。FBIになって唯一解ったことは、父は羽田浩司殺人事件に関わっていたということだ」

「それって10何年前にあったあの…？」

「そうだ。当時羽田は将棋の他にチェスも趣味としていてな。アメリカの大会に出るため、ホテルに宿泊していたらしい。その時事件が起こった」

「その事件に組織も関わっている可能性が…？」

「ああ、だから俺は組織に潜入しようと目論んでいる」

「そうだったのね…わかった。私にも出来ることがあれば言ってね？協力するわ」

「ありがとう、A」

赤井のFBIに入った理由を聞いてAは協力すると言い、彼女もまた日本に残ることになった。


「お前も日本に残るなら、部屋の1つでも探すといい」

「そうするわ。じゃあ調べ終わったら迎えにきてね」

「わかった、不動産屋に送ってやる。…しかし車は買ったほうがいいぞ」

「そのつもりではあるけど…」

Aは今手持ちがあまりない。家を借りるのにもせめて50万は持ってないとだめだ。

「金がないなら俺が出してやろう」

「え…出すって？」

「車も、家を借りる金も出してやると言ってる。返さなくていい」

「ちょっと待ってよ赤井；それは無理！」

なんと！貸すではなく買ってやると言ってる。さすがにAはダメだと思った。

「なぜだ」

「なぜって…私彼氏いるの。わかってる？」

「…かと言って降谷くんに出させるわけにもいかない。ずっと一緒にいる俺が買ったほうが…「そうじゃなくてね！！」なんだ？」

「買うとかじゃなくて…貸してくれる？そこまでしてもらう理由はないから。お金貸してね？」

「………」

赤井は黙ってしまった。付き合ってるわけでも結婚してるわけでもない他人の赤井に出させるわけにはいかなかった。

20. room→←18. break up

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す