hair cut ページ35
「さ、良平くん。ここに座ってね」
「わかった」
椅子に座らせ、ケープを巻いた。
「それじゃあやるわよ！」
「よろしく！」
「どんな髪型がいい？」
「Aさんに任せるよ」
「いいの？」
「うん」
「じゃあ私の好きなようにするわね」
「OK」
彼の髪にはさみをいれる。
「昨日はなんの収録だったの？」
「ゲームの収録だよ。ノベルゲームのね」
「へえ〜、セリフ長かったでしょ？」
「うん、集中力も無かったからあんな時間に…；」
「そっか。今日は何するの？」
「今日はとりあえず携帯をなんとかしなきゃな。
警察に行ってからショップに行こうと思う」
「そうね。ちなみに最後に使ったのは？」
「Ａスタジオで下野と電話したのが最後。
でもスタジオにはなかった」
「その後どこか寄らなかった？
近くにスタバとかあるじゃない？」
「………そういや、
その後すぐに移動しなきゃいけなくて…
もしかしたらそこにあるかもしれない！」
行った記憶があった。
「ちょっと待ってて」
「？」
Aはスタバに電話した。
「もしもし、お聞きしたいことがあるんですが。
昨日シルバーの携帯の忘れ物ありませんでしたか？」
「……」
すると
「えっ、本当ですか？よかったー！
あとで取りに行きます！名前は木村です」
といって電話を切った
「あったよ！携帯」
「マジで？よかった…ありがとうAさん！」
携帯があっさり見つかったようだ。
その３０分後…
「よし、イイ感じっ。あとは前髪ね」
鏡は後で見せることにしている。
「………」
Aは集中している。良平くんの前髪を整えるために、顔を近づけて見た。
(近い…やっぱり可愛い顔してるよなAさんて…
本当に俺より年上？)
なんて思っていると
「なぁに？人の顔じっと見て」
「あ、いや…集中してるなーって」
「えー、そんな集中してた？」
あははとAは笑う。
「してるよ」
「前髪はやっぱり横に流した方がいいわね。
もうちょっとこう……かな」
チョキン、チョキン…とはさみの音が聞こえる。
そして、良平くんの顔についた髪を手ではらった。
「よし、イイ感じ！私上手いなぁ〜！
うんうん！ふふっ、良平くんかっこいい！」
「え？」
「これはモテるなきっと！出来たよっ。
はい、目を瞑って立って！」
「目ぇ瞑るの？」
「そうよ。私が洗面所まで誘導してあげるわ」
自然にAは良平君の両方の手を掴んで引っ張って誘導した。
(わ…Aさんに手を掴まれた)
Aを好きだという気持ちに気づいてからはそれさえも嬉しく思ってしまう。
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作者名：touko.
| 作成日時：2019年8月17日 18時
