万能声優の日常Ⅲ【木村良平】 (ページ26)

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ファン第１号（岡本信彦）ページ26

ゲオに到着したAは、

ゲームソフトコーナーへ足を運んだ。

「あったあったポケモンカード。
とりあえず１０袋買おう」

「あの…」

「はい？」

男の子に話しかけられた。

「七井Aさん、ですよね？」

「え？はい、そうですけど…」

「うわぁ～っ、僕大ファンなんです！
SLAM DUNK大好きでずっと観てました！
あなたに憧れて声優になりたいって思って…！
今度声優デビューが決まりました！」

「え、そうなんですか？それはそれは…
おめでとうございます！」

「僕は岡本信彦です！プロ・フィット所属です！
今年２０歳になりますっ」

「じゃあ今１９歳なんだね、若い！」

「いえいえ、七井さんも凄くお綺麗で若いですよ！」

「ありがと～！じゃあ私が岡本くんのファン、
第１号になってあげる！」

「えっ、本当ですか!?」

「うん！ここで出会った記念にどう？」

Aは笑顔で片手を差し出した。すると岡本は両手でAの手を包んだ。

「ありがとうございます!! やっぱり
イメージ通りです！とても優しい方ですねっ」

「イメージ？」

「はい！」

綺麗な人は性格が悪かったりすると思っている岡本。しかしAの場合は雑誌を見ていて、とても優しい人なんだろうなというイメージが強かったという。実際優しくてイメージ通りだったと話した。

「なんかそういうの照れるわ。でもありがとう」

「七井さん、これからも応援してます！」

「うん、よろしくね！岡本くんっ」

「はい！ところで七井さん、
さっきポケモンカード見てましたよね？」

「うん。私ポケモンカード集めるの好きなのよ」

「そうなんですか！僕もポケモン大好きなんです！ゲームソフト全部持ってます」

「おお！凄いじゃない！私も持ってるよ」

Aと岡本はどうやら話が合うみたいだった。
二人はポケモンの話を延々としていた。

「わ、もうこんな時間…
はい、これポケモンカード。あげるわ」

Aは１０袋買ったうちの１袋をあげた

「え、いいんですか？」

「いいよ」

「ありがとうございます！やった～っ」

とても喜んだ。そんな姿をちょっと可愛いと思ってしまう。

Aと岡本くんの出会いはバレンタインデーの日となった。