万能声優の日常Ⅲ【木村良平】 (ページ19)

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良平くんの本音ページ19

「槇村さん、俺より１０歳年上だけどさー。結構いい身体してんだわこれが」

「お前…槇村さんに手出したの？」

「うん、昨日飲みに行った。
お持ち帰りしたんだよ」

「なにしてんだよ……よりによって、
Aさんのマネージャーにさ…」

すると日暮は

「本当は七井さんがタイプなんだけどね。
本当すげー可愛いよ。今まで会った中でダントツ！
良平には悪いけど、本気で狙うから」

「………」

良平君は柿原にとられるよりも、日暮にとられるのは絶対嫌だと思った。そして思わず本音が出てしまう。

「抱きしめてキスして、甘い声出させてやりたい」

「ふざけんなよ…」

「？」

「お前には…お前にだけは絶対渡さない。
Aさんに手ぇ出したら…お前クビだからな」

「良平…？」

「Aさんはお前みたいな奴に絶対落ちねえよ。
その辺の軽い女じゃないんだからな。
すぐ遊び人だって気づく…というか、
もう気づいてるだろうよ。俺から取ろうとするな」

「は…まだ付き合ってもないくせに、
自分のモノみたいに言うなよ。お前だって
七井さんに何とも思われてねえだろうに」

「それならそれでいいんだよ。
友達でもいい、ただの同僚でもいい…
好きになってもらえるよう努力すればいいんだから」

「………じゃあ、好きなのか？」

「ああ、好きだよ。
酒さえあればいいって言ったけど…
酒とAさんがいてくれれば…それでいい」

「フ…酒は変わらないのかい」

「変わらないよ！悪いかっっ」

これが彼の本音だった。良平君はAの事が本気で好きだ。だから簡単に狙うと言われると腹が立った。

「ハハ…悪くないよ、わかった。
お前の本音聞けて安心したよ。狙わない。
クビになりたくないしな…」

「あとな、槇村さんの事好きじゃないなら
抱いたこと謝れよな！Aさんの
マネージャーに手を出すとか、言語道断だ！」

「はいはい、わかったよ；」

「はいはいじゃねえよバカ」

「す、すいません；」

丁寧に謝る日暮。相当ご立腹の良平君であった。