【テニプリ】青学の王子様［手塚国光］

seigaku.12 ページ12

「て、手塚君…！どこ？どこなの…っ」

Aは手探りする


「ここだ、落ち着け水野」

Aの腕を掴むと手塚は彼女を引き寄せる


ドォォオンッ

「きゃ…っ、またどこかに落ちた…
もうやだ怖い…！」

「大丈夫だ、一人じゃない」

「う、うう…ありがとう…」

「………」

バクバクバク…


「て、手塚君？なんか、心臓の音が…」

Aは手塚の胸の中。
彼の心臓の鼓動は速いものだった。

「手塚君もひょっとして雷が怖い…とか？」

「いや、違う」

「え…？」

「お前をこうやって抱きしめていると、
髪の優しい香りがする。とても心地良い」

「…っ/」

「心地良いが緊張する。
女性を自分の胸に引き寄せるなど初めてだ」

「私も初めて。…男子の胸の鼓動を聞いたの」

Aもなんだか緊張してきた。

「……」

フっと明かりがついた


「あ…戻ったみたいね、よかったぁ。
……っ！」

手塚と至近距離で目が合う

「………」

目を逸らさず、ジッと彼はAを見ていた
とても恥ずかしくなり、Aは手塚から離れた

「カーテンを閉めた方がいいだろうな」

「う、うん…そうだね」

しかしカーテンは濃くなく、薄いのでまだ
見えている。

ゴロゴロ…


「電気がついた。作業を再開しよう」

「う、うん」

それから停電せずに済んだが、
雨が止む気配はない

「これ、帰れるのかな…」

「傘を差しても無意味だろうな。土砂降りで強風では」

「傘折れちゃうよね」

「ああ」

左手で次々と判子を押していく手塚
あと10枚くらいで終わる

「よし、こちらは終わったぞ」

「うん、私はもうちょっとかかるわ。
ごめんね手塚君…」

「謝る必要はない、俺もやろう」

半分をとるとスタスタと押していった
するとまた…

ドォォオンッ


「うわ…っ、やだ！」

「周りを見るな。俺を見ろ」

「えっ!?」

手塚の予想外の言葉に、Aはびっくりしていた

「…俺の顔を見てもつまらないだろうが
雷よりはマシだろう」

「…フフ、そんなことないよ。
手塚君て…とっても綺麗な顔立ちしてるよね」

「…綺麗な顔立ち？」

「うん、思わず見入っちゃうよ。イイ男って事！」

「…そうだろうか。老け顔と言われる」

「え、誰に？」

「越前だ。確かに実際、顧問の先生だと
間違われたことはあるんだがな」

「あはははっ、そうなんだ。
老けてはいないと思うよ？1年の越前君から見たら
そうかもしれないね？」

「そうか。……少しは怖くなくなったか？」

手塚は心配をしている。手塚の話に対して
笑うAにそう問いかけた

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