189話 ページ43
零side
「覚悟しててくださいね?」
なんて余裕の表情で俺の事を見下ろす骸。
それが少しカッコいいなんて思ってしまって少し焦る。
『…どんな事をしてくるんだろうな?』
少し汗ばみながらも薄く笑って冷静を装ってそう返すと「食えない人ですねぇ…そうゆう所も好きなのですが」とさっきよりも笑みを深くして勝ち誇ったように話す。
………好きとか言われて嬉しくないからな、1mmも嬉しくないからな!
「クフフ…では僕はこれを大事に食べるとしますか。貴女が作ってくれた大切な大切なチョコを…ね」
『……っ、あぁ、じゃあな』
ひらひらと手を振って姿勢を戻してふぅ…と息を吐く。主は何処かへ行き、骸もいなくなり、孤独感が残りちょっといなくならないで欲しいと思ってしまった……。
………きっと、骸は俺の事が好きなんだろう。じゃなかったらキスなんてしない。朔にそう言ったはずなのに今度は自分がそうなるとは………ははっ。
…まだキスされた感覚が残る唇を指先で触る。思い出すのは骸のサラサラとした紫髪、そして唇に当たる暖かさがある骸の唇。思い出すだけでなんとも言えない感覚になる。
「なんて、言うと思いましたか?」
そう言う骸の言葉が聞こえ、後ろを振り返ろうとしたがその前に後ろからギュッと抱き締める。
…首のところで手をクロスしてるのはなぜだ?
『!?…骸?なん…』
「貴女が名残惜しそうに別れを言うからやめたんですよ。…まぁそうしなくても今日一日はずっと一緒にいる予定でしたが」
『……なら一緒にいてやるよ』
……カッコいい幻術使いさん。と小さく付け足してやればクフフフと笑って頰を俺の頭に擦り付けてくる。
なんか猫っぽいな……
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作者名:ゆっくりノワール×夜野兎 x他1人 | 作成日時:2017年12月3日 16時