32 ページ32
.
「A、」
「……あ、ピリちゃん私準備室に小道具取りに行きたいの。私の身長じゃ届かないから一緒に来てもらってもいい?」
「うん、それはいいけど……」
「ありがとう」
なんだ、これ。
Aの名前を呼ぼうとすると全く同じタイミングで別の人に話しかけるAに、流石に他の人たちも何かがおかしいと気づき始めていて。
確かに昨日Aの中の地雷を踏んだのは確かだったけどまさかここまでされると思っていなくて昨日の自分をものすごく後悔した。
「……Aに何かしたの?」
「何かって言うか……」
そこにいたチャンビニ、スンミニ、イエニ、スアに昨日の出来事を包み隠さず話せば頭を抱えられたり深い深いため息をつかれたりと、ああやっぱりそれほどのことをしてしまったのかと反省する。
「なんかヒョンって顔がいいのに残念だよね」
「いやほんとに。ヌナすごいと思うよ、こんなリノヒョンが彼氏なんて」
「ヤー、それは関係ないだろ」
「リノは自分のどこが悪いなんて何も気づいてないの?正直スアがいる前でする話じゃないと思うけど」
そう言うチャンビンに少し気まずくなってスアの方を見れば苦笑いしていて本当に俺は何をしているんだと俺まで頭を抱えたくなった。
でも今更聞かないでくれ、なんて言えるはずもなくて。
「まあ、咄嗟に出た言葉とはいえスアと比べたのは、よく、なかったかも……」
「流石に私もそれはよくないと思う、かな」
「……ですよね」
何も間違っていなくてぐうの音も出ない。
ただの幼馴染だし、いつかはこうなるかもしれないとは思っていたけど、でもそれだけで済ませてしまうのはどこか違う、というか俺自身が嫌で。
「はあ……どうするべきだと思う?」
「話しかけないでって言われたんでしょ?様子見しかないんじゃない?無理に話しかけてもヌナの逆鱗に触れるだけだよ」
「てかさ、別に最近はそんな話してなかったじゃん。今になって気になる?リノはどうしたいの?」
どうしたい、なんて言われても直ぐに思いつかない。
ただ、このままだといけないというのは頭の中でずっと分かっている。ただ、それだけ。
「それが分かんないとどうしようもできないよ」
「……そうだよなあ」
俺はまだ、この気持ちが一体何なのか、まだ何も気づいていないのだった。
684人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「StrayKids」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白 - キュンキュンしながら一気読みしてしましました…!!素敵な作品を作って頂きありがとうございます! (7月12日 7時) (レス) @page45 id: 4aea3d1271 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - アレキサンダーマックイーンさん» コメントありがとうございます💕喜んでいただけて嬉しいです!本当にありがとうございます🙇♀️ (2022年12月16日 0時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
アレキサンダーマックイーン - ピリちゃん可愛いなと思ったらリノ君にキュンキュンして...,,なんですか、神ですか?素敵な作品をありがとうございました! (2022年12月14日 22時) (レス) @page44 id: 1662cc2da1 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - 華さん» コメント、感想ありがとうございます!ピリちゃんとのお話は結構こだわって書いてたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです🤦♀️最後までありがとうございました🙌 (2022年9月19日 18時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 語彙力皆無で申し訳ないですがめちゃくちゃ良かったです!四角関係に胸が苦しくなりつつピリちゃんにキュンキュンしていい作品に出会えました。ありがとうございました!完結おめでとうございます! (2022年9月19日 17時) (レス) @page46 id: f0743c2c5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくらんぼ | 作成日時:2022年3月10日 11時