初恋なんて大嫌い【Stray Kids】

14 ページ14

.




「借り物競争今年はどうなるかな〜」

「今年も盛り上がるんじゃない？去年楽しかったよね」



クラスの仲のいいことそんなことを話していれば、もう既に第1走者がスタートしていて色々なところから「頑張れ！」なんて声が飛んでいる。

続々とメガネだとかポンポンとか様々のものを借りていったりして、私たちのところにも「誰か丸メガネ持ってる人！」なんてクラスの人が来ていて大騒ぎしていた。



「あ、あれ、Aのとこの後輩じゃない？」

「ほんとだ……」



1個前の走者が全員ゴールしたところで放送委員のナレーションが始まり、それが終わってからピストルが鳴って次の組がスタートする。

同じ団の子も応援していたけど「ピリちゃん頑張れ」なんて言ったからなのか私に目を向けて一直線にこっちへ来るからさすがに私も私の周りの子もざわざわしてきてしまって



「ヌナ、一緒に来て！」

「わっ、ピリちゃん……！」



そのまま手を引かれてゴールまで手を繋がれる。

周りからも「キャー！」とか他学年からも注目されていてまさか自分がこの立場に来るとは思わなくて信じられないくらい心臓がバクバクしていた。

それからあっという間にゴールしてなんと1着。「やった〜！」なんて喜ぶピリちゃんにハイタッチを求められて私も流れでしてしまったけどどうして選ばれたのか全く分からない。



「1位で到着したのは1年3組フィリックスさんでした！お題は"大好きな先輩"！後ほどお話を聞きます！続いては……」

「ごめんね、勢いよく走っちゃった……大丈夫だった？」

「あ、うんそれは大丈夫なんだけど……」

「こっち行かなきゃ、僕たち1位だったからインタビューあるんだって！ヌナも一緒みたいだよ」



そう言われてまたさっきみたいにぎゅっと手を繋いで移動するから私の感覚が間違ってるのかとおかしくなりそうだった。

いくらピリちゃんの手が小さいとはいえ私より少し大きいし、こんな風に握られたことがないから変に意識してしまって少し暑くなる。

そのまま少し緊張しながらピリちゃんと一緒に待っていればあっという間にインタビューの時間になってきてしまった。



「お題は"大好きな先輩"でしたがどうしてAさんを選んだんですか？」

「大好きな先輩は沢山いるんですけど、頑張れって声が聞こえた気がして……あとは目が合ったから、ですかね」



そんなことをにっこり笑って恥ずかしげもなく言うのだから本当にすごい、なんてどこか他人事に考えていたのだった。

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す