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「リノくん、今日カフェ寄って帰らない?」
部活も終わり、あとは帰るだけとなった時スアにそう言われた。
帰りにAと話したかったけど、今日みんなに様子見するしかないなんて言われてしまってどうしようもないのでそんなお誘いを受けて今、二人の家の近くのカフェに来ていた。
「私はケーキセットで」
「あー……俺はアイスアメリカーノで」
「ケーキ食べないの?」
「……今は気分じゃなくて」
メニューを見た時一番に目に付いたのはケーキセットだった。でもそのケーキが今日はチョコケーキで食べるのをやめてしまった。
自分でも驚くくらいにAにあんな態度を取られたのが堪えていたらしくここまで影響が出てるなんて思いもしなかった。つい最近までなんとも思っていなかったのに。
「写真、一緒に撮ってもいい?」
「……あ、うん」
スアにそう言われてケーキとかと一緒に写真を撮ったけど上手く笑えたか分からない。元気がなさそうに見えたら申し訳ないな、なんて思っていたら。
「雨……」
「わー、結構降ってるね。傘持ってきた?」
「折りたたみ入ってるよ」
夕立なのか急に降り出した雨に不意に「Aは大丈夫かな」なんて思ってしまった。雷が苦手で、誰かといないと一人で鳴らなくなるまでじっと耐えて、もしこのあと雷がなったらAは誰かと一緒にいるのか、とか。
そんなことを思いながら窓の外を見ていた時だった。
「……リノくん、本当はAの事が好きなんでしょ?」
「えっ……?」
「確かに私に告白してくれた時は私のことが好きだったと思う。でも……Aがピリちゃんと付き合ってるって分かってから、かな。気にしてないフリしてたみたいだけどバレバレだったよ?」
まさか、そう言われた時はそう思ったけどここ最近Aのことを気にしてしまったり、咄嗟にスアと比べてしまったのももしかしたらAに彼氏がいること自体気に食わなかったからかもしれない。
「実際、今もAのこと考えてる。違う?」
「……ごめん」
「謝らないでよ……雷、なりそうだね」
雨の降っている雲はごろごろと音を鳴りだしていて今にも大きな雷が落ちそうだった。
そんなスアの言葉にもう一度ごめん、なんて謝って店を飛び出してしまった。持っていたはずの傘も差さないでもうすぐそこにある家まで走った。走った、のに……
「ヌナ……!」
そこにいたのは、フィリックスだった。
もうAに俺の居場所はないと今更突きつけられた感覚で、しばらくぼうっと立っていたけどバレないうちに家に入ったのだった。
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白 - キュンキュンしながら一気読みしてしましました…!!素敵な作品を作って頂きありがとうございます! (7月12日 7時) (レス) @page45 id: 4aea3d1271 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - アレキサンダーマックイーンさん» コメントありがとうございます💕喜んでいただけて嬉しいです!本当にありがとうございます🙇♀️ (2022年12月16日 0時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
アレキサンダーマックイーン - ピリちゃん可愛いなと思ったらリノ君にキュンキュンして...,,なんですか、神ですか?素敵な作品をありがとうございました! (2022年12月14日 22時) (レス) @page44 id: 1662cc2da1 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - 華さん» コメント、感想ありがとうございます!ピリちゃんとのお話は結構こだわって書いてたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです🤦♀️最後までありがとうございました🙌 (2022年9月19日 18時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 語彙力皆無で申し訳ないですがめちゃくちゃ良かったです!四角関係に胸が苦しくなりつつピリちゃんにキュンキュンしていい作品に出会えました。ありがとうございました!完結おめでとうございます! (2022年9月19日 17時) (レス) @page46 id: f0743c2c5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2022年3月10日 11時