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「また遊びに来てね」
「うん、今度どこか行こうね」
玄関でかわいらしく手を振るヌナに手を振り返してこれでヌナとはお別れ。
……どうしよう、今人生で一番幸せかもしれない。
にやにやしてたら恥ずかしいかも、なんて自分の頬を伸ばしたりして歩いていれば前から「あ」なんて聞きなれた声が聞こえてきて思わず顔を上げてしまった
「……リノヒョン」
「珍しいね、なんでお前がこんなとこいるの?」
「ちょっとこっちの方に用事があっただけだよ」
「ふーん……そっか」
そう言ってどこか少し気まづそうにするリノヒョンにさっきまでの楽しくて幸せだった浮かれた気持ちが一気に落ち着いてきてしまった。
「Aと、一緒だったの?」
「……そうだよ。僕たち、付き合ってるんだ」
「あー……そうなんだ、フィリックスずっと好きだったんでしょ?お似合いなんじゃない?というか黙ってたのに急にどうしたんだよ〜俺には関係ないよ」
「ほんと?いや、リノヒョンはヌナの幼馴染だからさ。いくら彼女がいるとはいえなんかなーって思っただけ!……でもヌナのこと、ほんとになんとも思ってないの?」
「……思ってないよ。ただの幼馴染だし、もう付き合いも長いからそんな風には見れないかな。Aもそうじゃない?」
そんなことを言ってくるリノヒョンに身体の奥底から込み上げてくるものがあってそれを抑えるのに気づかないうちに自分の拳を握りしめていた。
あまりにも酷すぎる。いくらリノヒョンがヌナの気持ちに気づいてなかったとはいえ"幼馴染だから"なんて言葉で簡単に片付けてしまうのはどうも許せなかった。
でも先輩だし、部活が同じでそれにヌナの幼馴染で変に突っかかるのも良くないから。
「それならいいんだけどさ〜、じゃあまた学校で!」
「おー、気をつけろよ〜」
リノリョンのことは嫌いじゃない。むしろ仲のいい先輩だし、話も合うし、本当に大好きな先輩だけど……でも好きな人のことになったら話は違う。
ヌナの一方通行だったとしても沢山傷ついて泣いていたんだから好きだったことに少しでも気づいてあげても良かったんじゃないかと思うのだ。
一人悶々と歩いていればあっという間に最寄りまで来ていて、さっきのことを振り返ってちょっと生意気言っちゃったかな、なんて少し反省する。
それでもヌナとのことを思い出して心を落ち着かせてから家に帰ったのだった。
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白 - キュンキュンしながら一気読みしてしましました…!!素敵な作品を作って頂きありがとうございます! (7月12日 7時) (レス) @page45 id: 4aea3d1271 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - アレキサンダーマックイーンさん» コメントありがとうございます💕喜んでいただけて嬉しいです!本当にありがとうございます🙇♀️ (2022年12月16日 0時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
アレキサンダーマックイーン - ピリちゃん可愛いなと思ったらリノ君にキュンキュンして...,,なんですか、神ですか?素敵な作品をありがとうございました! (2022年12月14日 22時) (レス) @page44 id: 1662cc2da1 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - 華さん» コメント、感想ありがとうございます!ピリちゃんとのお話は結構こだわって書いてたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです🤦♀️最後までありがとうございました🙌 (2022年9月19日 18時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 語彙力皆無で申し訳ないですがめちゃくちゃ良かったです!四角関係に胸が苦しくなりつつピリちゃんにキュンキュンしていい作品に出会えました。ありがとうございました!完結おめでとうございます! (2022年9月19日 17時) (レス) @page46 id: f0743c2c5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2022年3月10日 11時