七章 最悪の呪詛師…5 ページ17
ある冬の日、斎藤母娘は、とある呪詛師のもとを訪ねていた。
「えーと、お宅の娘さんが霊に取り憑かれていると…そういうわけだね、サトウさん」
冬枯れした立ち木に囲まれた、大きな寺社風の建物の中。通された畳張りの部屋の中で、法衣の男、夏油に斎藤母娘はさっそく名前を間違えられた。
「あ、はい……いや、私、斎藤です」
夏油「いや、アナタはサトウさんです。私がそう言ってるんだから、サトウの方がいい」
「はあ…」
そんな夏油の態度は、斎藤母にはいまいちピンとこなかったが、娘の方は明らかに嫌なものを感じていた。
そもそも、夏油は斎藤母娘の前に姿を現してから、ずっと横柄にひじ掛けにもたれ、長い黒髪を揺らし、ニヤニヤとした狐のような笑みを浮かべている。
「……お母さん、帰ろうよ」
「でもアンタ、最近まともに眠れてないでしょ」
「だからってこんな胡散臭い…」
夏油「刺すような視線を常に感じている」
夏油の言葉に、娘はハッと見やった。
夏油「肩が重く、息苦しくなる時がありますね?呼吸の仕方を忘れたように。そしてよく…犯 される夢を見る」
夏油は娘に起こっていることを、全て見透かしているようだった。
夏油には最初から見えていた。娘にまとわりつく、おどろおどろしい姿……無数の目を持ち、その視線を全て豊満な肢体に浴びせながら、くびれた腰をまさぐるように手を伸ばす呪霊の姿。
もっとも、呪力のない一般の人間には輪郭を見ることすら叶わない。だからこそ娘は、ただただ混乱するばかりだった。
「…なんでそのことを……」
夏油「動かないで」
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thmrt1214(プロフ) - とてもおもしろいです!更新楽しみにしています! (1月25日 23時) (レス) id: 1820409e74 (このIDを非表示/違反報告)
カーミィ - 更新ありがとうございます!!いつも楽しみに待っていますので頑張ってください‼️でも無理はしないで☺️ (12月31日 11時) (レス) id: 1079b99541 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - 愛が…愛が足りないのか!?勿忘草の推しに対する愛が呪いになりそう(T_T) (12月19日 1時) (レス) id: d96a732bee (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草(プロフ) - カーミィさん» カッコいいですよね!(*^▽^*) (12月9日 18時) (レス) id: d96a732bee (このIDを非表示/違反報告)
カーミィ - 東堂カッコいいですね!! (12月9日 17時) (レス) id: 1079b99541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:勿忘草 | 作成日時:2023年10月8日 18時