離れぬ心…4 ページ11
A達が帰り、弓道場で1人残っていた雅貴。すると其処へ、森岡先生がやって来る
森岡「おー、滝川君ご苦労さん。今日は任せきりになってすまんかった」
雅貴「森岡先生…コッチこそすみません。長居して」
採点簿を置き、そろそろ帰ろうとしたが森岡先生がお茶を出し雅貴と共にのんびりしていた
森岡「生徒が帰った後の弓道場を独り占め…嫌、2人占めとは大人の特権じゃの〜」
雅貴「大人…何ですかね？」
森岡「ん？」
雅貴「自分が子供だった頃は年上はみーんな同じに見えた。だけど自分が実際その年になってみるとだだ、オロオロ、オロオロしてる。ただ大人に見せているだけなんじゃ無いかって…」
雅貴の言葉を聞き、森岡先生がみんな、そして自分だってそうだと答えた
森岡「八坂8段、西園寺7段、大��7段等…あの年代の方々達が第一線で活躍なさっていた頃、決してあの境地には辿り着けんじゃろうと思ったもんじゃよ」
雅貴「…俺には爺さんの境地が如何だったか分かりませんけど、ただ気が付けば自分がされて嫌だった事を自分がしている…あーはなるまいと思っていたのに。何でですかね？」
落ち込んでいた雅貴に良いコーチだと優しく励ました森岡先生
雅貴「「お前は、本当に弓道が好きでやっているのか？」…かつてそう聞かれました。だけどそれは、問うている様で問うていない。答える者の好きという気持ちもそれ以外も封じる問いです。問う者の傲慢も答えを縛られる重圧も知っている筈なのに、俺は同じ問いを口にしてしまった…」
静弥に問いた事を後悔していた。それを感じ取った森岡先生は雅貴のお爺さんが気になって仕方がないと言った
森岡「執着と死後尊敬は良く似ておるモンじゃ」
雅貴「俺は…」
森岡「それで、滝川少年はその問いに如何答え様と考えた？」
雅貴「分かりません。何を言っても違う様な気がして…」
森岡「しかし、考えたのじゃろう？」
雅貴「はい」
森岡「それだって十分な事じゃ」
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作者名：勿忘草
| 作成日時：2019年5月3日 16時
