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「チャギヤ、ちょっとこっち見て」

「なに?」



私の右手を取ったオッパはするすると私の薬指についていた指輪を外して、それを手のひらに握らせた。今度は反対の左手を取ってそこに、その薬指に綺麗な指輪をはめてくれたのだった。



「ずっと一緒にいてくれる?」



今までに見たことがないくらいに、その綺麗な顔を緩ませて優しく微笑んだオッパにゆっくりとその言葉の意味が頭に入ってきて、じわじわと涙が溢れそうになってくる。

ほとんど泣きながらオッパに抱きつけば「返事は?」なんて言われて、いじわるだなぁと思ったけど、私が涙こぼしながら「ずっと一緒にいる」と言うと、お気に召したのかしっかりと抱きしめ返してくれて。



「あの時は指輪も何もなかったし、寝る前だったし、まだしっかり考えてなかったけど、こういうのはちゃんとしないとでしょ」



オッパの骨ばった手で優しく涙を拭われて、そのままキスされる。私の顔を覗き込んで「少し落ち着いた?」なんて言ってくれたから、何度か頷くと「ほんとに?」と少し笑われながら返されてしまった。

好き、大好き、オッパのことが大好きで仕方がない。二十数年と生きてきて、こんなにも人のことを好きになるなんてこれが最初で最後なんだと思うと、オッパを好きになれてよかったと思うし、幸せ者だなと思った。

程よく鍛えられている胸元に擦り寄って背中に腕を回して、思い切り抱きついても倒れることはなく、しっかりと受け止めてくれて、私の頭を撫でてくれる。



「……本当に、私でいいの?」

「いいに決まってるでしょ」

「だって、子どもっぽいし、わがままだし、料理、あんまり上手くできないのに」

「そんなことで嫌になってたら一緒に暮らそうともしないし、早々に別れてるから」

「後悔、しない……?」

「するわけないでしょ」



なんだか急に不安になってきて、私があれこれ言っていたら、ぺちんと軽くでこぴんをされておでこを抑えた。少しだけ痛かった。



「A、愛してるよ」

「わ、たしも、愛してるっ……」



こんなにも、オッパのことを好きになるだなんて思っていなかった。

こんなにも、貴方に酔ってしまうつもりなんてなかったのに。

気がついたら、抜け出せないところまで貴方に溺れていたのだった。


Fin.

あとがき(追記:6/20)→←66



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さまゆゆ(プロフ) - 完結お疲れ様+おめでとうございます!あまーい入野を本当にありがとうございました!! (12月12日 23時) (レス) @page20 id: f43423a96b (このIDを非表示/違反報告)
elmo(プロフ) - Twitterしたくなくて見れないから、、、いつかここでさくらんぼさんの作品大好きなので読める日を待っています😆✨ (12月6日 18時) (レス) @page20 id: fe6e18ad7e (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - さくらんぼさん» 新作もし書かれるようであればまた拝読させていただきます! (6月17日 1時) (レス) id: d0206497b3 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - にこさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです〜🫶🏻最後までお付き合いありがとうございました❣️ (6月16日 19時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです! (6月15日 21時) (レス) @page19 id: d0206497b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2023年4月4日 0時

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