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先輩の「このあと時間ある?」なんて言葉に頷いてやってきたのは来たことのない、落ち着いた雰囲気の綺麗な喫茶店だった
まだ少し涼しくなってきたくらいの気温だけど泣いたこともあって今日はアイスカフェラテじゃなくてホットのカフェラテを頼んだ
「あれ、オレンジジュースじゃないんだ」
「流石に喫茶店でジュースは飲まないです」
「そっか」
二人でカフェに来た割にはどこかちょっとだけ気まづくて。というか泣いたあとだし、目も腫れてるし途中でメイクを直したとはいえぼろぼろすぎて恥ずかしい
あんなに泣いて、先輩に変なところ見られちゃったし顔を合わせるのが嫌でなんとか目線を合わせないように、話しかけられても下を向いたり横を向いたり
「コーヒー好き?」
「好きです、甘いのしか飲めないんですけど……」
「じゃあブラック飲めないんだ」
アメリカーノのストローをくわえてニヤッと笑っていうからちょっとむっとしてしまって
「あ、今ちょっとばかにしましたよね?」
「……してないよ」
「ほら、笑ってるじゃないですか!」
否定しながらもくすくすと肩を揺らして笑う先輩に不貞腐れていれば「そういうところだよ」なんて言ってさらにその綺麗な顔を緩ませるからなんだか拍子抜けしてしまう
まだにこにこしているから少し意地を張って、先輩の飲むアイスアメリカーノより甘ったるいであろうカフェラテを飲み干したのだった
「ゆっくり飲めばいいのに」
「……のど、かわいてたので」
「そ?ならいいけど」
口角を上げてそう言った先輩に目をやれば、もう手にあるグラスは空っぽになっていて。少し急かしてしまったかな、となんだか申し訳なくなる
泣いたあとだったしどっと疲れが溢れてきてしまって。私のカップも先輩のグラスも空になっていたし、そんな私を見たのか「今日は帰ろうか」なんて話になったのだった
お店を出て駅までの道を歩き出す。触れそうで触れないそんな距離がもどかしくて、せっかく付き合えたのに手も繋げないのが情けなくて、少し近づけてみれば一瞬手が触れてそのままぎゅっと手を握られたのだった
「家まで、送ってく。……迷惑だったら、駅まで」
「……もうちょっと、一緒にいたいです」
「うん」
初めてデートした時もこうして手を繋いで近い距離にいたけど、改めて隣に立つと先輩って結構背が高くてがっちりしてるんだな、とか手も私より大きいんだな、なんて思ったら妙にドキドキしてしまって
電車に乗れば手は離れてしまったけど降りてホームを出る頃にはまた手を繋いで歩いていた。
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にな - おもしろすぎますっ!!!まだIIを読んでないので、めちゃくちゃ楽しみです笑 (9月18日 9時) (レス) id: b40d645773 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - 二酸化酸素さん» 正しいのは「酒は飲んでも呑まれるな」で合ってますが、それをもじってこのタイトルにしました。あとがきで説明しようと思っていたので記載していませんでした。わざわざコメントさせてしまってすみません🙏 (2023年4月9日 12時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 酒は飲んでも呑まれるなじゃないんですか?酔われるなって日本語変じゃない? (2023年4月8日 23時) (レス) id: f1b4473fe3 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - ゆるさん» ありがとうございます!頑張ります🫶🏻 (2023年3月2日 23時) (レス) id: 208005c528 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - すごく面白かったです💞続き楽しみにしてます!! (2023年3月1日 16時) (レス) id: 1458c0c6cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらんぼ | 作成日時:2022年11月25日 17時